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カテゴリ:小説・エッセイなど
現在、福山雅治・柴崎コウ主演の映画「容疑者Xの献身」(公式サイト)が公開中。原作者の東野圭吾氏は、本作品で第134回直木賞を受賞。探偵ガリレオシリーズの本作は、探偵ガリレオ、予知夢に続く第3弾作品とのこと。 いやはや・・・こんな「献身」の仕方があるのでしょうか。なんだかうまく言葉になりません。でも、この世の中のどこかには存在するのかもしれない形にも思えます。殺人がいいというわけでは決してありません。数学にしか脳がない人間が一目惚れしたら、そういう風な方法を取ってでも相手を救おうと考えるのかということに関してです。 まぁ、「献身」の内容には賛否両論あるんでしょうけど、少なくとも、そこで描かれていた「愛」は「狂気の愛」ではなくて、むしろ「純愛」に近いんだろうと思います。だから感動できるんだと思いました。 トリックも素晴らしいし、文章にも無駄がなく一気に読めてしまいます。東野作品では、「変身」、「宿命」などを読んだことがありますが、読後感はこれが一番いいですね。 それにしても、賛否両論あるであろう本作品が直木賞を受賞した理由がどこにあるのか調べてみたところ、「直木賞のすべて」というサイトの受賞作家の群像の項目に、直木賞選考委員のコメントがピックアップされていましたので、引用したいと思います。以下引用。 阿刀田高(選考委員)「こんな人間が実在するだろうか?これは愛だろうか?ヒューマニズムにもとるところはないだろうか?などなどいくつかの疑問の余地を含んでいるが、それはなぞ解きミステリーの宿命的弱点とも関わる問題だ。あえて言えば私はなぞ解きミステリーとしてのすばらしさだけでも受賞に値する、と考えた。」 井上ひさし(選考委員)「他人の生命を踏みつけにしておいて愛もへったくれもないではないか……しかし、作者の力量は疑いもなく十分、そこで最後の一票を東野作品に投じた。」 林真理子(選考委員)「たとえ小説でも許されない、非道徳的なことがあると思うが、この作品はそうした善悪を乗り越えるだけの力を持っていると思う。」 北方謙三(選考委員)「トリックに終っていない部分を、私はさらに評価した。人間が心の底に持つ、純愛への願望、偏執的な愛を、トリックによって鮮烈に炙り出していた」 みなさんはどう思われますでしょうか。まだ読まれていない方は、ぜひ一度どうぞ。 自己採点 92点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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