カテゴリ:家族
うちには500円玉貯金の缶があります。 ずっしりと重たいです。 高校生だった息子が貯めていっぱいになった500円玉貯金です。 彼が大学生活を東京の場に移した時、 500円玉貯金缶を我が家に残していきました。 「おかん、なんかあったら、それ使ったらいいで」 帰郷するたびに彼は数万のお金を居間のどこかに置いて東京に帰って行きます。 最初の年、彼の残していってくれたお金に手をつけなければならなくなった時がありました。 親としてなんて情けない親なんだろう。 子どもが置いてくれたお金を持つ私の手が震え、 涙と一緒に声を出して泣いてしまいました。 そのお金を渡すときも、泣いてしまいました。 息子は、冗談のようにメールをくれました。 『オカン、台所のカウンターの飾り物の下にあるお金、オカンのへそくりちゃうで。 俺がおいていったお金や。要る時に使ったらいいで』 私は、『東京の大学生活はお金が要るから、いいよ。』 と返事します。 すると、 『今使えって、言うてないで。病気になった時、オカン、金ないやろ? そのときのために置いてるんや。』 息子は帰ってくるたびに、なにがしかのお金を置いていってくれました。 家が競売になろうかという時、 彼は、食べるものも食べずに、 宝くじをたくさん買って帰ってきました。 「もし当たったら、ローンこれで、返そうな」 当たらなかったけど、アホな子やと思いました。 娘も息子も言いました。 「お母さんには、おばあちゃんとこがある。 お父さんにも、親の家がある。 自分たちは、この家しか帰る家がないんや。 せやから、オカン、みんなでこの家守ろ。」 それから、6年。 息子からもらったお金は、そのまま、輪ゴムで留めて置いてあります。 この前見たら、輪ゴムが溶けてました。でも、そのままに置いてあります。 500円貯金缶もそのままにあります。 あれから、6年。 娘は家に帰ってきて、私と一緒に暮らしてくれています。 「お母さんを独りにはしないからね。」と言ってくれています。 息子は奨学生として、ロンドンの大学院に留学しています。 明日、家族が揃います。 今年は、3人家族になって、初めて、カニを食べます。 みんな、がんばったと思う。 世の中からしたら、もっと、もっと、困っている人がいて、 私たちのがんばりは、ちっぽけかもしれないけど、 我が家は、明日、3人がそろいます。 世界で一番大切な信頼と愛を持って。 私達がようやく築き始めた人との繋がり、 どうか、切らないでくださいと願います。 来年、娘も息子も私も、勉強します。 そして、それぞれが目標とする資格、学業を残していきます。 だから、もう、そっとして置いてくださいとお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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