テーマ:楽器について♪(3648)
カテゴリ:ピアノ雑感
ピアノは簡単に音が出せる楽器である。 と言い切ってしまうのには何か抵抗を感じる。実際にピアノで本当に美しい音を出すのは簡単なことではないからだ。 しかし他の楽器、例えばヴァイオリン、フルート、オーボエ、トランペットなどは初心者がいきなり鳴らそうとしても、音そのものが出ない。そういう意味ではピアノの場合、まったく弾いたことのない人でも鍵盤を押さえればとりあえず音は出る。 そういう意味でなら「ピアノは簡単に音が出せる楽器」と言ってもかまわないのではないか。 僕は最近までそう思っていた。だが最近整音を主な仕事とするようになって初めてそうでないと気がついた。 本当はピアノ(打弦楽器)は構造上音の出にくい楽器なのである。 ピアノはハンマーが弦を叩くことによって音が出る。このメカニズムは一見大音量が出そうだが、実は爪ではじいたり弓でこすったりするよりもずっと効率が悪いのである。 例えばギターの弦を鉛筆や箸などで叩いてみても蚊の泣くような音しか出ない。 ではどのような条件で叩けば弦は豊かに鳴るのか。端的には 弦とハンマーの弾性と剛性がマッチした時、と言える。 具体的に言えば、 ハンマーが硬すぎると、 ハンマーが弦に接触したとたん跳ね返されてしまい、弦を振動させることができない。 ハンマーがやわらかすぎると、 ハンマーが弦にまとわりついて弦の振動を妨げてしまう。 理想的な状態とは、ハンマーが弦を振幅の最上点まで押し上げ、そこまで到達したところですばやくハンマーが弦から離れる状態である。 この動作は弦の弾性・剛性に対してハンマーの硬さが適合している時はじめて生じるものである。 弦は張力が定まっているのでハンマーの硬さを調整することで両者の弾性をマッチさせる。この作業が「整音」である。「整音」が悪いと特に高音部では本当に音が鳴らないことがある。 ピアノにおいて「整音」が悪いということはフルート奏者のアムブシュア、ヴァイオリニストのボーイングが悪いのと似ている。 「整音」されてはじめてピアノは音の出る楽器となるのである。 経過時間 1月 12日 1時間 6分経過 吸った煙草 0本 吸わなかった煙草 430本 浮いた煙草代 86ユーロ 延びた寿命 1日 11時間 50分 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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