テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:ドイツ生活
今日、工場に出勤すると、ひとりの同僚が僕のところに駆け寄ってきた。
「何か、昨日、日本語のメールもらったんだけど訳してもらえない?」 見ると、彼の手には何かをプリントアウトしたような一枚の紙があり、そこには何やら日本語の文章が書かれてあった。 この同僚(B)は工場に勤めるかたわら、テディ・ベアを作るのが趣味だったが、それが昂じてやがてネットで売れるようになり、さらにアメリカのテディ・ベアのコンテストで入賞して以来、世界的なテディ・ベアアーティストになってしまった。日本でも高島屋が彼の講演を企画して招聘したほどである。 そういった事情で同僚Bは日本の業者と取引関係があり、頻繁に連絡していたのだが、普段は英語なのに今回はなぜか日本語。それで僕のところに持ってきたのだ。 よくよく読んでみると、それは同僚Bに直接宛てたメールではなかった。 その担当社員と同僚Bとの間での支払方法で交渉の経過と合意について上司に報告するもので、同僚BにもCCとして送ったものだった。しかしどうしたことか英訳を忘れていたのだ。 それにしても、日本語だからといって分かると言うものではないことがよくわかった。業務報告なので業界用語がちりばめられている。幸いカタカナが多く、そのとおり発音すると同僚Bには理解できたようだ。 専門分野の訳というのは難しいと思う。 それは僕らの業界(ピアノ技術)でもそうである。 日本の調律専門学校のいくつかは海外研修旅行を企画しているが、僕もそれに立ち会ったことが数回ある。 その都度、通訳の苦労を目の当たりにする。もちろんプロの通訳士がつくのだが、この業界特有の用語がたくさんあり、いくらドイツ語が堪能でも理解できないことも多々あるのである。英語ならさまざまな分野に通じた通訳士がいるが、ドイツ語となると限られる。 実は日本のピアノ技術用語はさらに難しい。 例えば、鍵盤の深さ調整を「あがき」と言い、鍵盤の高さ調整を「ならし」と言う。 さらにややこしいのはヤマハとカワイで時々用語が違うこと。 そのひとつの例は「ハンマーもどり」で、この言葉の意味が双方で異なっている。そう考えるとこの業界は日本語同士でも通訳が必要なのでは、と思いたくもなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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