テーマ:楽器について♪(3648)
カテゴリ:ピアノ雑感
毎年行われるフランクフルトのメッセ。
毎回僕は3つの目的を持って行く。 ひとつはもちろん楽器を見ること。 2つ目はだれかに会いに行くこと。 そして3つ目は工具類の買い物である。 ピアノ工具はドイツでは基本的にMEYNE、RENNER、JAHNいずれかの会社で買う。通常は自分の勤める会社を通して注文して買うのだが、自分の右腕となる道具についてはやはり実際に手にとって確かめて買いたいものだ。 MEYNEはブラウンシュヴァイクにあるので足を運んで買いに行けるが、品数も多いわけではないので、やはりRENNERやJAHNのものが欲しい。 そこで、毎年春のメッセでRENNER、JAHNのブースに行ってめぼしい工具を探しに行くのだ。そして欲しいものが見つかったら売ってもらう。本来はメッセでは物は売らないことになっているが、小道具に関しては売ってくれることが多い。今回購入したのは張弦に使う道具と整音に使うピッカー3本。 今日は、調弦(ピアノに弦を張ること)に使う道具の試用レポートをしてみたい。 まず、右の写真。これは引き上げ工具、ドイツ語でリングへーバーと呼ばれるものである。 これをどのように使うか多少説明が必要と思う。 ピアノの弦はチューニングピンという金属の棒に巻きつける。通常巻きつける周回数によって3重、4重のリング(コイル)が出来るわけであるが、ただ巻きつけただけではだらしなく不ぞろいになる。そこで、巻きつけた弦のコイルをきれいに密着させるために、引き上げという作業が必要になる。 これには弦の伸びている部分をフックで引っ掛けるか、テコでリングを持ち上げるなどの方法があり、場合により使い分けるがこれが結構やりにくい。 このリングへーバーはリングをピンに垂直に引っ掛けて持ち上げるもの。 使ってみると、なんとこの引き上げ作業がやりやすいことか。まったくといってよいほどストレスを感じない。もっとも、同僚の一人が言うには、中音のピンは密集している部分には道具が入らないので多少改造が必要とのことだが、僕は張弦に関してはベース弦の張替え(ジン線、ボン線)以外することはまずないので、現状のままでまったく問題ない。 左はラチェット式のチューニングハンマー。 調律の場合はチューニングピンを回転させるのはせいぜい10度から5度くらいの間だが、張弦の場合、何回転もさせるので、チューニングハンマーを何回も差し替えないといけない。これがラチェット式であれば、チューニングハンマーをピンから抜かずに何回転でもさせることができる。 これは以前から売ってはいたが、個人的にそれほど作業が効率よくなるとは思えず、買おうとも思わなかった。 しかし、実際買ってみて使ってみるとこれほど便利だとは… 最低音になると側板が邪魔でピンをまわすのに結構ストレスだったが、これがとても快適になる。張るときだけでなく、弦を外すときも、常に左手でテンションをかけた状態でピンを緩めていけるので、これもまた使い勝手がよい。 この2つの道具のおかげで、ベース弦の張替え作業が楽しくなった。これまではジン線やボン線が出ると「やれやれ」という気持ちになったが、週明けは「ジン線ないかな~♪」と、楽しみな気分だった。 次回は整音工具のピッカーについてのレポート お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ピアノ雑感] カテゴリの最新記事
|
|