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カテゴリ:秩父巡礼
第28番札所
山号:石龍山(せきりゅうざん) 宗派:曹洞宗 本尊:馬頭観世音菩薩 巡拝日:2008年5月15日 ----------------------------------------------------------------- 一度市街地に戻りかけた巡礼道は、再び山あいへと分け入ってゆく。 二十五番・久昌寺から辿ってきた国道を南へ戻ると程なく、 二十八番札所及び鍾乳洞、さらに浦山ダムへと至る道の分岐点へ出る。 その道をどんどん突き進めば、さらに札所への分かれ道がある。 分かれ道の角には鍾乳洞のための広い駐車スペースがあって、 団体巡礼者用のバスはここに停めて歩いて二十八番へ向かうらしいけれど、 普通車であれば、細い道をさらに進んだ先に車を停めることができる。 車を停め、さっそくお堂へ向かい歩く。 すると、高さ65mという巨大な石灰岩盤が目に飛び込んでくる。 二十八番・橋立堂は、その断崖絶壁の麓に建っている。 橋立堂と名づけられたこの観音堂は江戸中期の建立というが、 この岩盤に日光を遮られてきたせいか、朱の色が今も比較的鮮やかに残っている。 回廊がまわっているけれど、地盤の傾斜にあわせ後部は一段高く造られている。 ご本尊は、馬頭観世音菩薩。秩父三十四ヶ所で唯一であるばかりか、 日本百観音霊場の中でも、ここの他に一ヶ所しか、 馬頭観音が本尊となっている札所はないという。 本堂右手前には“馬堂”と呼ばれるお堂があって、美しい馬の彫り物が二体。 かつては、交通手段でもあった馬の健康を、そして今は車の安全を、 この札所はご利益としているという。 札所の中でもとりわけ小柄な観音さまだけれど、フォルムがとても美しい。 秩父市指定有形文化財。 ところで、納経所の脇は鍾乳洞の入り口にもなっていて、 入場料大人200円を払えば、地底の世界へ足を踏み入れることができる。 中は写真NGとのことで、入り口だけ撮って、とにかく歩くことに専念する。 さすがに鍾乳洞、中は冷気に満ちて心地よい。 そもそもは橋立堂の奥の院であったそうで、中にはお地蔵さまがいらしたり、 石筍、石柱の一部には、 “弘法大師の後姿” “仁王様の足” というような名前を付けられたものもある。 我が故郷が誇るあぶくま洞の規模には遠く及ばないけれど、 久々の地底歩きは楽しかった。 時間にして10分もたたず、出口へ。 すると、木立ちの向こうに道が通っている。 あんな道、通ったかな?と思いながら橋立堂方面へ進む道は、けっこうな下り坂。 考えてみれば、この鍾乳洞、中では階段を昇り、昇り、また昇る。 知らない間に30mも昇っているそうで、こうした鍾乳洞は珍しいらしい。 鍾乳洞出口から橋立堂の前を抜け、駐車場へ。 その手前に蕎麦屋があった。甚太郎そば、と書いてある。 この甚太郎そばの文字は、秩父の街なか、国道沿いで見かけていて、 そのたびに気になっていたのだけれど、店を開けているふうではなく、 食べてみたいという気持ちだけが膨らんでいたのだった。 軽く昼ごはんを食べてしまってはいたけれど、せっかくなので一杯いただくことにする。 ここで逃してしまったら一生、甚太郎そばにありつけないかもしれない。 ざるそば一杯700円だったか。おいしい。麺はコシが強すぎず弱すぎず。 付け合わせも余計にサービスしていただいて、満足してお店を後にした。 ひとりの巡礼で最もおろそかになるのは、食かもしれない。 これまでほとんど、コンビニのおにぎりやパンで済ませてきた。 時間的な制約もあって先を急ぐこともあるし、一見の飛び込みは勇気も要る。 二十八番まで巡ってようやく堪能した、秩父の味だった。 石龍山橋立堂 秩父市上影森675 tel.0494-24-5399 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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