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カテゴリ:秩父巡礼
第31番札所
山号:鷲窟山(しゅうくつさん) 宗派:曹洞宗 本尊:聖観世音菩薩 巡拝日:2008年6月5日 ----------------------------------------------------------------- 三十番・法雲寺の山を降り、国道へ出て、さらに三峰方面へ向かう。 程なく、荒川の谷を境に法雲寺とは反対側の山あいへと入り込む要領で、小鹿野方面へ。 秩父盆地に寄り添って点在していた札所は、三十一番にして初めて、 その外側に出ることになる。札所間の移動距離で言えば、 この三十番から三十一番にかけてが、最も長いのではないだろうか。 途中、旧両神村内の風情ある街並みが、とても印象に残った。 小鹿野の街なかを抜け、国道299号線を経由して、再び山あいへ。 一本道の山道をひたすら登ってゆく。 途中、地蔵寺というお寺の脇を通り抜ける。 おびただしい数のお地蔵さまが山肌を埋め尽くしている。 いったい何体のお地蔵さまがいらっしゃるのだろう。 その地蔵寺から数百m登ると、舗装された道路はそこで行き止まり。 駐車場が整備されていて、右手には鉄骨製の仁王門が建っている。 ここが三十一番・観音院だ。 この仁王像は、体長4m。 ひとつの石から彫られたものとしては日本一の大きさという。 その仁王像の背後に、観音堂へ続く石段が伸びている。 その数296段。右へ左へとうねりながら登ってゆく。 視界は開けているけれど、右手は谷、左手は断崖。 見た目以上に急峻な地形である。 長い石段を登りきり平地へ出ると、 鉄筋コンクリート製の観音堂よりも先に、 その左背後に流れ落ちる滝が目に飛び込んでくる。 清浄の滝と呼ばれているそうだ。 周囲には霧雨のような水しぶきが飛び散っていて、 マイナスイオンたっぷりの空気に満ちている。 この滝つぼの脇には、弘法大師がその爪をもって一夜にして彫ったといわれる、 鷲窟磨崖仏と呼ばれる石仏群がある。埼玉県指定有形文化財。 永年の風雪にさらされ、かなり風化してしまっているけれど、 その岩肌を今も間近に見ることができる。 現在の観音堂は、1972年の建立。 以前のお堂は1893(明治26)年に焼失し、 その後80年に渡って仮堂のままだったという。 小さいながら均整の取れたこの現観音堂の中心に、 金色に輝くご本尊の聖観世音菩薩さまが安置されている。 さて、滝が流れているということは、ここは谷間にあたるわけで、 この谷を中心に、その両側には、手を広げたように峰が広がっている。 その峰はそれぞれ東奥の院、西奥の院と呼ばれ、かつては修験の場だったという。 しかし、数年前に岩盤の崩落があったということで、西奥の院は立ち入り禁止。 残念に思いつつ、東奥の院を周回する。 東奥の院の足元は赤土が目立つ。 武甲山周辺とは明らかに違う地質である。 突端は眺望がいい。曇り空なのが残念だ。 比較的新しく見えるお堂が建てられいる他、古い祠や石仏も多く残っている。 谷越しには、入ってはいけない西奥の院を遠望できる。 確かに、ここから見る限り、そこは危険な道が続いているように見える。 しばしその風景に見入ったあと、再び観音堂の前を通り、山を降りる。 観音さまと相対していると、日頃さして信心深くない自分でも、 心が浄化されてゆくような感覚を味わうことがあるけれど、 札所の中でも有数の難所というこの石段に疲れを感じなかったのは、 観音さまのパワーだけでなく、滝の周辺の清々しい空気も、 きっと作用していたに違いない。 その見えない力に後押しされながら、石段を降りた。 鷲窟山観音院 秩父郡小鹿野町飯田観音2211 tel.0494-75-3300 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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