インド系IT企業で働くSEの日記

町で「ウルトラマン」とカタカナのロゴの入ったＴシャツを着た人を見た。
日本のインディーズバンドのＴシャツや、千葉ロッテの昔のユニフォーム（ピンクのやつ）を着てる人を見たこともある。
日本から古着が流れてきてるんだろう。

ドアに「○○工務店」などと書かれた商用ワゴンも時々見かける。
これまた日本から流れてきてるんだけど、「愛知県稲沢市・・・」と住所が書かれていたときは、世界って狭いなあと思った。

とは言え実際には、エチオピアと日本はやっぱり遠い。
エチオピアについて日本人が知っていることと言えば、せいぜいコーヒーとマラソンくらいだろう。
逆に日本についてエチオピア人が知っていることと言えば、電化製品・車・金持ち・武道くらい。
サムライ・ニンジャ・ゲイシャなどは外国人にありがちな日本のイメージだけど、多くのエチオピア人はそれさえも知らない。
ゲームやアニメも一般的じゃない。
広島・長崎への原爆投下はかろうじて知られているかな。

日本人としては、中田英寿や中村俊輔がサッカー好きに知られているくらい。
日本人は「チャイナ」と言われることが多いけど、白人でも「チャイナ」と言われることがあるそうだ。
僕は顔が濃いし今は日焼けして黒いので、東南アジア系に間違えられることもある。
なぜだか「シェフチェンコ（ウクライナ人サッカー選手）！」と声を掛けられたこともある。
「お前はアメリカ人か中国人か？」とか「お前はトルコ人かアラブ人か？」とか、あり得ない二択を迫られたこともある。
結局のところ「外国人」だということしか分からないんだろう。

日本の食文化もあまり知られていない。
日本食を振舞ってもあまり喜んでくれない。（僕の腕にも原因はあるけど。）
「日本人はよく魚を食べるから頭がいい。だから日本は発展した。」とか「エチオピア人は料理に塩と油を使いすぎるから頭が悪いんだ！」とか、エチオピア人に言われたことがある。
小学校のとき先生にそう教わったらしいが、さすがにそれは極論だと思う。

日本の宗教については、かなり関心を示す。
が、僕の知識不足や語学力不足はあるにせよ、日本の宗教観を外国人には理解してもらうのは難しい。
多神教は一神教と比べて劣ったアニミズムという考えがあるからか、見下した態度を取る人もいる。

車は日本車、特にトヨタだらけ。
そしてトヨタの中でも、ランドクルーザーとハイエースはエチオピア中で大活躍している。
電化製品はソニーが有名だけど、実際によく見かけるのはサムソンやハイアールなど、韓国や中国のメーカーが多い気がする。

車や電化製品のイメージが強いから、日本人はみんな理数系に強いと思っているかのようだ。
学生から時々数学について質問を受けるけど、大学まで文系だった僕には大学の数学なんて到底分からないから困る。
文系でもＩＴ技術者になれてしまう日本の現状を理解してもらうのも、これまた大変だ。

武道は空手と合気道が人気で、道場らしきところで習っている人もいる。
軍隊でも習うようだ。
テコンドーやカンフーも合わせて、どれが日本のものか、ちゃんと分かっている人は少ないけど。

僕は最近髪が伸びてきたからか「ジャッキーチェン！」と声をかけられることが多く、「アチョー！」とか言って僕に向かって構えてくる奴もいる。
悪気はないんだろうけど、面倒なので無視する。

普段日本人と接する機会がほとんどない人ばかりだから、僕次第で日本のイメージが良くなることもあれば悪くなることある。
そう思うと、怖い。