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カテゴリ:インドで考えたこと
世界各国のジニ係数を調べてみました。
http://www.visionofhumanity.org/gpi-data/#/2010/GINI 日本はデンマークに次いで2位です。 つまり、世界で2番目に格差の小さい国ということになります。 ただ、これは以前に見た世銀の調査結果とは違っていて、若干古い数値ではないかと推測します。 バブル崩壊以降、成果主義の導入や非正規社員の増加などにより、格差が広がってきているのは確かです。 それでも世界の中では比較的格差の小さい国ではあります。 庶民が、携帯電話やPC、車を持っていても珍しくありません。 逆に企業のトップが、一般社員の数百倍もの報酬をもらうこともまずありません。 3位以降は社会保障の充実した北欧諸国や旧共産圏の東欧諸国が続きますが、15位に突如としてエチオピアが現れます。 実はエチオピアも共産主義の名残で今も土地の私有が認められていないなど、格差が広がりにくい社会構造になっているのですが、エチオピアの場合は格差が小さいと言っても「みんな貧しい」というだけのことです。 インドは65位。 カースト制度の影響もあるでしょうが、格差の大きい社会です。 そもそも現金収入のほとんどない人がたくさんいるのですが、例えばレストランやショップのスタッフは高級店でもない限りせいぜい月収数千円程度でしょう。 一方で、例えばIT企業にでも就職すれば、初任給でも数万円もらえます。 同じ雇われの身でも、格差は10倍以上。 日本ではあまりない格差です。 という訳で、日本は格差の小さい国だと言えますが、にも関わらず国民の間で格差意識が強いのは何故でしょう。 まず一つ、格差が固定化しやすい社会だからでしょうか。 日本では、それなりの大学を出てそれなりの企業に正社員として新卒で就職できれば、それなりに高収入で居続ける可能性は高いでしょう。 一方で、受験や就職で失敗したり、何らかの理由でキャリアにブランクを作ってしまうと、高収入の職に就くことは簡単ではありません。 要するに、敗者復活が難しい社会です。 ジニ係数はあくまで所得を基準にした数値で、資産を基準にした数値ではありません。 毎年の所得の格差が大きくないとしても、それが固定化してしまうと資産の格差は年々広がってしまいます。 もう一つ、単一民族に近い社会であることも理由かもしれません。 例えば日本人がアラブの大富豪に対して、嫉妬を感じることは少ないでしょう。 民族も言語も宗教も違う異質な人を相手にすると、格差を意識しないような気がします。 ですが、同じ日本語を話す日本人なのにそこに格差が存在すると、劣等感や優越感が生まれやすいように思います。 インドのように他民族国家であれば、民族・宗教・言語が多様なので、自分が○○人で○○教徒で○○語を話すということがアイデンティティとなり得ます。 それらは個人の能力や努力とは関係なく獲得できるものです。 一方で日本では、日本人で日本語を話すことは全く普通のことなので、人より稼げるとか、人よりモテるとか、そういった「人より秀でること」でしかアイデンティティを得られません。 人より秀でるというのは相対的なことですので、誰もができることではありません。 多様性に欠ける社会では、互いに劣等感や優越感を刺激し合い、実際以上に格差意識が強まりやすいのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月11日 22時24分20秒
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