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2012.02.08
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上岡敏之さん&読響のマーラー4番を聴きました。
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1月25日サントリーホール
読響第511回定期演奏会

指揮:上岡敏之ソプラノ独唱:キルステン・ブランク
管弦楽:読売日本交響楽団

モーツァルト交響曲第34番 ハ長調 K.338
マーラー交響曲第4番
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ロマン的で個性的な演奏を聴かせてくれる上岡さん。上岡さんのマーラーは、2010年のヴッパータール響との5番で、良くも悪くも極めてユニークなマーラーに驚いたものでした。今回も個性的なマーラーになることでしょう。

プログラム最初のモーツァルトの交響曲が、とてもとても良かったです。本当に楽しそうに軽やかなステップで踊るような上岡さんの指揮で、それに良く読響もこたえ、喜悦にあふれた音楽が湧き出てきて、すっかり魅せられました。早くもブラボーが飛び交ったのも充分納得の快演でした!

休憩のあとマーラー4番。やはり、よくも悪くも個性的でした。ポルタメントの極端な強調がユニークです!それでも第一、第二楽章は、極端な事件はなく、終わりました。

第三楽章からがひときわ個性的になりました。

第三楽章の途中から、テンポがどんどん遅くなってきます。ポルタメントの強調もさらにすごくなってきて、キュウーーーーーーーーーーーンと、目的の音程にたどり着くまでが極度に時間がかかるので、途中不協和音的な響きになっている時間も長く、ちょっと異次元に迷い込んだような感覚さえ呼び起こされます。

僕はもともとデフォルメ系のマーラーは好きな方ですし、面白いと言えば面白いですが、ここまでやられると、ちょっとついて行きにくいです。極度のテンポの遅さもあって、次第に聴く集中が途切れがちになっていきました。永遠のように思われた(汗)第三楽章もすすみ、ようやくクライマックのオケの盛り上がりに到達しました。ここの大音量の最中に、舞台下手側のドアがそっと開かれ、独唱者が入場してきました。なるほど、このタイミングで入場して、指揮者の隣にゆっくり歩いていくのか、と思ったら、違った展開になりました!

独唱者は、入場してきたものの、すぐに立ち止まり、なんとオケの雛壇にちょこんと腰かけてしまいました。第一ヴァイオリンの一番後方の、すぐ後ろあたりの雛壇です。そのまま音楽は続き、だんだんと静まっていき、とうとう第三楽章が静かに終わってしまうまで、ずっとそこに座りっぱなしでした。さてそれではいつ立つのだろう、と心配しながらみていると、上岡さんはそこで指揮棒をおろして、完全に休止をとりました。そうしたらソプラノが立ち上がって指揮者の左隣まで歩いていき、一息ついてスタンバイして、そこからあらためて最終楽章が始まりました。

うーーーーーーーん。(←これはポルタメントではありません。)こういうやり方をするのなら、わざわざ第三楽章の途中で入場させずとも、第三楽章が終わってから普通に入場してくればよいのに。。。なぜこんな奇抜な入場方式をするのか、上岡さんは本当に変わっています。この方法だと、楽章の切れ目に普通にはいってくるよりは、拍手の発生を防ぎやすい、というメリットはあるかもしれません。だけれどそもそも上岡さんが、そこまでしてまで拍手の発生を防ぎたいと思っているとは思えないですし。。。もしかして第三楽章の終結部の最中に歌手を雛壇に座らせることで、何か高貴なものが降りてくるかのようなここの音楽の特別な雰囲気をあえて壊して、このあとに始まる終楽章のシニカルな面を演出したのだろうか?

この曲でのソプラノの入り方に関しては、近年見てるものでは、第三楽章のクライマックスに入ってくるか、第三楽章が終わってから普通に入ってくるか、というのが多いです。もともと僕は、この曲での独唱者の入場方式は、3番の場合ほどこだわりはなく、どっちでもいいです、という気持ちでした。

しかし、しかしです。以前の記事に書いたように、昨年のハーディング&マーラー室内管の方式は、すごかったのでした。なんと第三楽章の始まる前に独唱者があらかじめ入場して、長い第三楽章の間ずっと指揮者の隣で座っていて、第三楽章が終わるとすぐに静かにすっと立って、そのままアタッカで第四楽章が始まった、というやりかたでした。これは静謐と緊張があって、すばらしかったです。(スコアにはアタッカの指示はないので、ハーディングのすばらしいこだわりですね。)ハーディングおそるべしです。こういう方式を見てしまうと、他の方法が大雑把に感じてしまいます。

今日の上岡さんの方法は、大雑把というわけではなく、大胆不敵といえましょう(^^)。上岡さんは、終楽章も、ポルタメントの強烈さは変わらずでした。それでソプラノ歌手の肝心な歌に関しては、あいにく不調だったのか、声に冴えがなく、残念な歌唱でした。

上岡さんの、怖いもの知らずのマーラー、今度は何番を、どんなふうにユニークに聴かせてくれるのでしょうか。また聴きに来たいと思います。






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Last updated  2012.02.09 01:56:55
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