続いて書きます。
指揮:アルミンク
管弦楽:新日本フィル
ソプラノ:天羽明恵
アルト:アネリー・ペーボ
テノール:望月哲也
バリトン:イシュトバーン・コヴァーチ
子どもの独唱 ボーイソプラノ、ボーイアルト:東京少年少女合唱隊のメンバー4人
合唱:栗友会合唱団
ドヴォルジャーク 交響詩「金の紡ぎ車」
マーラー 嘆きの歌(初稿版)
5月19日 すみだトリフォニーホール
プログラム前半のドヴォルジャークの曲は、嘆きの歌と似て、姉妹殺しの物語の音楽ということでした。考えられたプログラムです。
そして後半の嘆きの歌。名演でした。
独唱者のペーボさんは、前の週、大植さん&大フィルの3番の助っ人として兵庫で歌いました。そのときの赤い衣装は、なるほど、今日の嘆きの歌のためのものだったんですね。この曲にふさわしい、血の色の連想を誘う衣装のように見えました。
ペーボさんをはじめとする4人の大人の独唱者は皆良かったですし、オケ・合唱・バンダも、皆かなりの高水準でした。そして非常な大きな効果をあげていたのが、笛の嘆きの語りを歌うボーイソプラノとボーイアルトです。
笛の語りの部分については、マーラーは初稿ではボーイソプラノとボーイアルトを指定していました。マーラーらしいこだわりと思います。しかし後の改訂稿では ボーイアルト(任意)としてしまいました。現実的な演奏のしやすさを考えて妥協したのでしょうか。CDでも多くは大人の独唱で、僕の保有している中で少年 を起用しているのは、初稿版によるケント・ナガノ盤(ボーイソプラノとボーイアルト)以外には、シャイー盤(ボーイアルト)だけです。
今回のアルミンクは、子どもの独唱の場所にも工夫を示しました。舞台後ろの壁の高いところにあるオルガン用の通路に登場させて、高いところで歌わせていたの です。他の声楽陣は、独唱者は指揮者のすぐそば、大人の合唱はオケの後ろというオーソドックスな配置でしたから、子どもの独唱だけを高い配置にすることにより、他との違いがより一層際立ちました。子どもにしかない声の質と、ややぎこちない歌いぶりとの相乗効果で、笛の語りに劇的な効果をあげていました。
嘆きの歌を聴くこと自体貴重なのに、かつ初稿という貴重な版を、高水準の演奏できけて、大満足のひとときでした。