じゃくの音楽日記帳

術後4日目、リハビリ初日です。はじめて訪れたリハビリ室はとても広く、大勢の患者さんと理学療法士さんがいて、いろいろな運動をしています。まずは現状評価ということで、担当の先生に、全身の状態をいろいろ診ていただきました。その結果、

「関節の可動域が狭いだけでなく、筋肉が硬く筋膜が硬い（緊張している）。これをほぐすには、足の裏をほぐすことが重要。足の裏の筋膜がそのまま足の後ろから背中、そしてずーっと頭までつながっているので、足の裏をほぐすと体の他の部分もほぐれてくる。」

という説明でした。早速、まず座った状態で、足の裏にテニスボールを置いて、足をゆっくりと動かし、ボールで足の裏をまんべんなくほぐすことが始まりました。左右交互に3分ずつ、2セットやりました。簡単ですし、とても心地良いです。「足裏コロコロ」と名付けました。

最後は歩行練習。３メートルほどのバーが平行においてある間を、バーに両手でつかまりながら歩いて往復します。歩くのは手術以後初めてなので、５日ぶりです。ちょっと歩くと、足がだるく重くなります。1往復するごとに座って休みましたが、４往復したところで、足のだるさがかなり強くなったので、それで終了となりました。３メートル４往復なので約２４メートル歩いただけです。わずか４日歩かないだけで、随分筋力が衰えるのだなぁとびっくりしました。

ところで現在の自分の一番困っている症状は、右足首から先の筋力低下です。詳しく言うと、右足首から先を背屈（向こう脛の方に曲げること）する力が弱いです。特に小指側の方が、力の低下が目立ちます。足の指も同じで、背屈（足の甲の方に曲げること）する力が弱いです。かろうじて親指は少し背屈できますが、２，３，４，５番目の指はまったく背屈できません。このため右足でしっかりと体を支えにくく、歩くときに右足の小指側の持ち上がり方が悪く、ともすればふらつくという状態でした。この症状が６月以降ずっと続いていたのが、手術に踏み切った理由です。

以上、リハビリ初日で教わった技法は、「足裏コロコロ」でした。

この日は、あとはベッド上で過ごし、まず昨夜の続きでフォーレの夜想曲の9番以後を聴いて、そのあとは声楽に移りました。ソプラノのフェリシティ・ロットによるオケ伴奏の歌曲集（アルミン・ジョルダン指揮、スイスロマンド管）のCDです。このCDは、プログラムというか構成が素晴らしく、ショーソンの「愛と海の詩」、ラヴェルの「シェエラザード」、そしてデュパルクの歌曲が3曲「旅への誘い」「悲しき歌」「フィディレ」収められています。それぞれが名曲ですし、音楽の雰囲気がアルバム全体を通じて同系統でまとまっていて、とてもいいです。ジャケットのロットさんの写真も、最初の2曲に合わせて海を背景にしたものです。



ショーソンも大好きな曲ですが、今回は気分的にちょっと合わない感じがしたのではずして、ラヴェルとデュパルクを聴きました。

デュパルクの3曲の歌曲は、どれもこのCDで初めて出会いました。みな珠玉の名品ですが、僕は特に、2曲目の「悲しき歌（Chanson triste）」 がたまらなく好きです。歌はもちろん、オケ伴奏がまた素晴らしく、静かな弦とハープの分散和音を基本に、ときおり抑えぎみにはいるフルートらの管楽器の合いの手までも、実に絶妙で、こちらの心に響きます。ため息も忘れるような美しさに浸ったひとときでした。

ロットさんは、２０１１年の震災後、コンサートキャンセルが相次ぐ中、来日して歌ってくださいました。王子ホールでのリサイタル、忘れられない体験の一つです。（「2011年、印象に残ったコンサート：声楽編」に書きました。）