カテゴリ:演奏会(2018年)
プロムジカ2018ツアーのその3、最後の記事です。
プロムジカ女声合唱団 指揮:デーネシュ・サボー 4月4日 東京カテドラル関口教会 聖マリア大聖堂 2018日本ツアーの半ば、関東での最後の公演です。ここ東京カテドラル関口教会聖マリア大聖堂は長い残響で知られます。かつては朝比奈隆氏がブルックナーの交響曲を繰り返して演奏しましたし、合唱や古楽の演奏会がときどき行われています。過去にプロムジカがここで歌ったかどうかは知りませんが、僕にとってはここでプロムジカを聴くのは初めてです。今日はとても大勢の聴衆が集まり、広い会場は満席ということでした。 大聖堂は空から見ると十字架をかたどった構造ということです。内部から見るとそういうことはわかりませんが、ともかく天井がとても高く、壁はコンクリート造りで、垂直ではなく斜めに傾いていて、上の方で左右が合流しているような感じです。前方に大きな祭壇があり、後方にはパイプオルガンを備えたバルコニーがあります。その間に祭壇の方を向いた沢山の信者席があり、そこに座って聴きます。 教会ですので、今日は全部宗教曲のプログラム。いつものように入場しながらの歌で始まりました。合唱団は祭壇の前の方というか、信者席に近い方で歌い、サボーさんは信者席の中央に前後に伸びた通路の、前から数列目くらいのところで指揮をされました。この大空間に独特の長い残響で、やや遠くから聞こえて来るような響きで、コンサートホールとはまた違った、教会ならではの厳かな雰囲気のうちに進んでいきました。 最初の4曲はルネッサンスの曲で、そのあとはハンガリーの作曲家の曲が歌われ、休憩となりました。 休憩時に撮った、夕闇の中に立つ大聖堂です。 後半は、引き続きハンガリーの作曲家の曲が歌われていきます。いつものようにときどき配置を変えますが、コンサートホールでのように客席通路に散らばるということは少なく、むしろ壁に沿って大きく広がることが多かったです。この響きの空間に合わせた配置変化だったのだと思います。 今日を含め6日間に3回と集中して聴けたためか、コダーイ、コチャール、ジェンジシのハンガリーの3人の作曲家の作風や響きの違いが、聴いていてなんとなく分かってくるように思いました。もちろん曲によっても大きく違うので極めて大雑把な印象ですが、コダーイを基準とすると、宙に漂うような響きのうつろひが美しいコチャール、リズムなどに斬新な感覚のあふれたジェンジシ、という感じでしょうか。いずれも美しい曲の数々を、長い残響に浸りながら、たっぷりと聴けました。前半は少しフライング気味の拍手がありましたが、休憩のときに係の人が、余韻が消えるまで拍手は控えましょうとしっかりアピールしていただいたおかげで、後半は長い残響が完全に消えて一呼吸するまで静寂が保たれるようになり、安心して聴けました。 そしてあっという間にコンサートは終盤を迎え、ビーブルのアヴェ・マリアが歌われました。そのあとサボーさんが「春爛漫。」と仰り、「さくらさくら」が歌われました。最後はサボーさんの流ちょうな日本語「皆さんも歌わなければなりません。」という言葉に導かれ、「ふるさと」を、その場の全員で歌いました。 今回、大きなコンサートホール、小さなコンサートホール、大聖堂、というそれぞれ異なる響きの場でプロムジカを満喫するという、夢のような1週間になりました。それぞれの違いも身をもって実感しました。響きの繊細な美しさという点で、大きなコンサートホールはさすがに良く設計され、良く作られていると思いましたし、小さなコンサートホールで至近距離で全身で味わう立体的な感触は圧倒的でした。そして今日の大聖堂は、教会という特別な場所と、独特の長い残響とで、歌うほうも聴く方も普通のコンサートと少し違った厳かな雰囲気の中での、貴重な聴体験になりました。 今日もなんと、運よく小さな花をいただきました。 この素晴らしい合唱の響きを、再び聴ける日が来ることを願いながら、日々の生活を過ごしていきたいと思います。 最後に、サボーさんありがとうございました! 最後の最後に、プロムジカのメンバーの皆さん、ありがとうございました! 最後の最後の最後に、後藤田さんはじめ関係の方々のご尽力、ありがとうございました! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[演奏会(2018年)] カテゴリの最新記事
|
|