カテゴリ:マーラー演奏会(2018年)
3番で大きな感動をいただいた、坂入健司郎&東京ユヴェントスフィルのマーラー、今度は創立10周年の節目に8番です。とても楽しみにやって参りました。期待通り、まっすぐで、明るく輝く、感動の8番を聴かせていただきました!
指揮:坂入健司郎 管弦楽:東京ユヴェントス・フィルハーモニー (コンサートミストレス:青木尚佳) 第一ソプラノ:森谷真理 第二ソプラノ:中江早希 第三ソプラノ:中山美紀 第一アルト:谷地畝晶子 第二アルト:中島郁子 テノール:宮里直樹 バリトン:今井俊輔 バス:清水那由太 児童合唱:NHK東京児童合唱団 合唱:東京ユヴェントス・フィルハーモニー合唱団 マーラー 交響曲第8番 東京ユヴェントス・フィルハーモニー 創立10周年記念演奏会 9月16日 ミューザ川崎シンフォニーホール 配置です。弦楽は下手から第一Vn、Vc、Va、第二Vnの対抗配置で、Cbは舞台後方に13台が二列に横に並びました。弦楽の後方は、一番下手寄りにハープ3台、その右にチェレスタ、ピアノ、ハルモニウム、マンドリンが固まっています。上手側は打楽器群で、鐘(チューブラーベルと板のベルの両方)、シンバル、ティンパニ、タムタムなどの打楽器群が並んでいます。木管を挟んで左右に、下手側にはホルン、上手側にはトランペット、トロンボーン、チューバが位置しています。3番のときと同じく、左右対称性を意識したきれいな配置です。 独唱者は、Cbの後ろ、舞台の最後部に7人が横一列に並びました。合唱団は舞台とパイプオルガンの間の客席を使い、児童合唱95名が前方に、その後方に大人の合唱団200名超が、中央ブロックに男声、左右ブロックに女声と、これも左右対称に位置しました。 第一部が始まりました。中庸のテンポで進んで行きます。合唱団の人数はこの曲としては多くはないですが、その分オケの音とのバランスが良い感じです。特にオルガンの低音、Cbの低音がしっかり良く聴こえて安定感がありました。鐘は、板の鐘を見た時は、この曲に合うのかなと心配しましたが、チューブラーベルと一緒に鳴らすことで、明るさと適度な重さを備えた、なかなか良い音が響いてきます。坂入さんは中庸なテンポをベースとしながらツボを得た緩急変化をつけていて、聴いていてゾクゾク・ワクワクする、充実した第一部が進んでいきます。児童合唱も、さすがのN児の実力に加えて、大人と子供の人数がおおよそ2:1で、児童合唱がしっかり聴こえてくるのも良い感じです。 やがて第一部の終わりに近づいたとき、パイプオルガンの前に金管バンダが登場し、そこで吹きました。事前説明で、バンダは4階客席を使うとありましたので、これはちょっとびっくりしました。なんらかの事情で方針を変更したのだろうか、しかしこのバンダはやはりホールの後ろの方から吹かせて欲しいな、と思いました。 第一部が終わると、坂入さんは譜面台のすぐ裏に置かれた低い木製の椅子に腰かけて、水分補給をして一休みです。3番の時も同じように座って休む場面がありました。これは和みます(^^)。その間、第二部で登場するオケ奏者の入場や、オケのチューニングが行われました。 第二部が始まりました。マーラー3番を聴いたときに、このオケの弦楽セクションの美音ぶりに驚いたものですが、今回も変わらず、アマオケとは思えない美しい音です。特にチェロセクションはほれぼれする歌を随所で聴かせてくれます。管の各セクションも、前回からさらに進化を遂げていたと思います。木管が独唱者と一緒に同じメロディを奏でるところでは、木管の音色と独唱の声が絶妙なバランスで美しく調和して響いてきます。 曲が進み、マリアを崇める博士(テノール)の歌い始めあたりから、音楽はさらにしなやかに、深みを帯びてきました。そしてヴァイオリンの調べにハープとハルモニウムが伴うところでは、坂入さんはテンポを落とし、じっくりと歌ってくれます。ハープが冴えわたっていました。こういう歌心の美しさは、坂入さんの真骨頂の一つではないでしょうか。うっとりと聴き入りました。 その後も音楽は急がずたゆまず、次第に大きく熱くなっていきました。やがて最後の大合唱に向けて、第1505小節と1506の間の、第二コーラスの女声部だけがスラーで残るところに来ました。(広上さんが長く強調して独特の効果をあげるところです。「広上&京響のマーラー8番を聴く」の記事に詳しく書きました。)ここは、かなり短めではありましたが、女声部だけが残る瞬間が、はっきりと聴きとれました。 そして最後のバンダの出番が近づいてきますが、そういえばバンダがなかなかオルガンのところに出てきません。「そうか、今度は後方からなのだな」、と悟ったうちに、坂入さんの気迫の指示のもと、果たしてホール後方から、堂々たるバンダが吹き鳴らされ、絶大な効果を発揮しました。なるほど第二部のバンダ効果を最大限にするために、第一部はあえてオルガンのところで吹かせたのか、と合点がいきました。そのまま圧倒的な終結を迎えました。 坂入さんの素直であふれる歌心と、しなやかで大きな音楽の流れ、ここぞというところの熱いパワーをひしひしと感じました。本当にすごい指揮者です。オケも素晴らしいです。ソロが美しかったコンミス、柔らかく美しい音色のトランペット首席さんなどプロの奏者がいらっしゃるとはいえ、基本アマオケで、ここまでの演奏を成し遂げてしまうとは、ミラクルです。 坂入さんと、演奏された皆様、またしても素晴らしい音楽を、大きな感動を、ありがとうございました! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.25 15:38:06
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