カテゴリ:演奏会(2018年)
守岡未央さんのリサイタルを聴きました。東京オペラシティのB→Cシリーズの第204回です。B→Cシリーズは、若手の気鋭の奏者による、バッハ(B)と現代音楽(C)を中核に据えたプログラムが毎回非常に興味深いリサイタルなのですが、なかなか聴きに行く時間がとれません。今回は守岡未央さんを是非とも聴きたく、頑張って参りました。
僕が守岡未央さんの音に初めて出会ったのは、もう5年前、2013年10月のアマオケのマーラー3番のコンサートでした。このときのポストホルンが、実にほれぼれする演奏でした。あまりに素晴らしかったので、終演後に拍手も終わって演奏者たちが舞台裏に引っ込んで行くときに、思わず舞台に急いで近づき、舞台下の客席からご本人に、素晴らしいポストホルンだったことの感動を直接お伝えしました。当時はどういう方かを全く知りませんでしたが、この方が守岡未央さんだったわけです。きっと守岡さんは変なおじさんが何を言いに来たのかと驚かれたことと思います(^^)。 その後守岡さんは、2014年に行われた第12回東京音楽コンクールの金管部門で第3位及び聴衆賞を受賞し、2015年日本音楽コンクールのトランペット部門で見事優勝されました。 そして僕は、その後2016年4月に、アマオケのマーラー3番を聴いていたところ、ポストホルンがやはり素晴らしく、それを聴きながら、何故か2013年のポストホルンのことを思い出していました。「今日も良いけど、そういえばあのときも良かったなぁ」などと思いながら聴いていました。後日その演奏会のプログラムを見たら、なんとポストホルンに「守岡未央」と書いてあるのを発見し、びっくりするとともに、2013年のポストホルンを思いだしたことに合点がいきました。(このあたりのことは「オーケストラ・アンサンブル・バウムのマーラー3番を聴く」の記事に書きました。) その後守岡さんは、2016年7月に東京文化会館モーニングコンサートVol.97を開催されましたが、これは平日昼間で聴きに行けませんでした。その次の2016年9月に紀尾井ホールで開催された「明日への扉」シリーズでのリサイタルは、聴きに行くことができ、守岡さんの明るく豊かな音色を堪能しました。 もうそれから早くも2年がたち、今回東京オペラシティのB→Cシリーズでのリサイタルとなったわけです。 9月18日 東京オペラシティ リサイタルホール 守岡未央(もりおか みお) トランペット 松下倫士(まつした ともひと) チェンバロ、ピアノ 金子鈴太郎(かねこ りんたろう) チェロ 会場は満員の盛況。プログラム前半は、ピッコロトランペット、チェンバロ、チェロによる三重奏で、バッハ、アルビノーニ、テレマンのバロック・プログラムでした。守岡さんはちょっと緊張気味だったかもしれないですが、明るく伸びやかなピッコロトランペットを聴かせていただきました。金子さんのチェロは小ぶりで、エンドピンを外して(?)、ヴィオラ・ダ・ガンバ風に両足で抱えて演奏していました。 後半はトランペットとピアノによる近・現代作品で、エネスコ、ボザ、ラフマニノフ、松下倫士(守岡未央委嘱作、世界初演、トランペットソロ)、最後はスノウという作曲家の作品でした。多彩な味わいのプログラムで、それぞれに美しくうっとりとさせられました。松下さんのピアノもきらきらと輝いていて、冴えていました。プログラム最後のスノウの曲はクラシックの作りですが途中にジャズ的な部分もあり、美しく素敵な曲でした! 盛大な拍手のあと、ちょっと守岡さんのスピーチがあり、「今の自分にできることすべてを出しました。」と仰っていました。そしてチェロの金子さんも参加して3人で、アンコールを2曲。最初は「天空の城ラピュタ」の名曲、「君をのせて」。紀尾井ホールのリサイタルのときにも守岡さんはこれをやり、そのときに宮崎作品かなり好きだとお話しされていました(^^)。守岡さんのトランペットとピアノ、チェロによる「君をのせて」、良かったです~。そして最後は、BachにかえってG線上のアリアを、再びピッコロトランペットに持ち替えて演奏していただきました。 大昔、中学~高校の頃、トランペットを少しかじっていました。高音が出ず苦しむ一方で、モーリス・アンドレの音色に憧れ、心酔する日々でした。アンドレが来日したときのリサイタルも、聴きに行きました。 守岡さんのトランペットは、明るく豊かな歌があり、アンドレに通ずるものを感じます。これからのますますのご活躍を期待しています。いつかまたマーラー3番のポストホルンも、聴かせてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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