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訃報を聞いて惜しい、というか、残念と思う人があります。最近では、やはり昭和の大女優、原節子でしたね。 9日に亡くなった作家の野坂昭如さんも、そんな思いの1人です。特に深い交遊があったわけではありませんが、常に気になる先輩作家でした。 昭和1ケタ生まれの作家は、焼け跡闇市派と引揚派に分類されます。野坂さんは前者でした。後者には、五木寛之、生島治郎などが。 野坂さんは昭和5年生まれ、開高健などと同じ年です。この世代の作家は、ほとんど鬼籍に入りました。健在なのは、五木寛之氏くらいでしょうか。作家ではありませんが、同じ世代としては、永六輔氏も、まだラジオで活躍しています。呂律はかなり怪しいですが。 野坂昭如という名をはじめて目にしたのは「プレイボーイ入門」という本でした。新聞広告を見て、すぐに買いましたね。当時の私もプレイボーイを気取っていて、遊びまくっていたからです。参考になる記述があるか、興味津々でページを開きました。が、新しい発見はありませんでした。この人は、本当はプレイボーイではないな、とすぐにわかりました。 野末陳平と組んで、早稲田天才秀才という名で漫才をやっていた、ということですが、照れ屋の野坂さんでは、うまくいかなかったでしょう。スベルのが目に見えるようです。 直木賞を獲るまでは紆余曲折がありました。この辺は、皆さんもご存知でしょう。ここではあまり知られていないエピソードを紹介したいのですが、たくさんありすぎて、ちょっと無理ですね。 偽悪者、反骨の人、アル中の酔っ払い、戦中派の論客、ブルーフィルムの批評家、いろいろ言われました。 小説は独学だったんではないでしょうか。師事したのは、強いて言えば丸谷才一だったのでは。「プレイボーイ入門」も、丸谷氏の助言で完成した、と言われていました。 戦中戦後の体験から、反戦平和主義の人が多いのがこの世代。野坂氏も、例外ではありません。安倍政権の戦前回帰に、危機感を持っていましたね。 早口でまくしたてる現代への警鐘。それが聞けなくなるのは、ほんとに残念です。心より、ご冥福をお祈りします。
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最終更新日
2015年12月11日 09時00分59秒
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