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カテゴリ:テレビ番組諸々
現在TV番組表をひもとけば、秋の番組改変期にあたるスペシャル番組が目白押しで、 来週から新ドラマのスタートラッシュとなるわけですが、それに先駆けて前回に引き続き 「世にも奇妙な物語('06 秋の特別編)」の感想なぞ書いてみたいと思います。 ■鏡子さん →小学生の都市伝説か、安物の怪談レベルのプロットは正直いただけない。 尺数が短いという点を差し引いても、ご都合主義的な人物の因果関係がすべて一本に 無理矢理繋げようとするのも、観ている側からすれば「ハァ?」ってな展開で、それすら も細部において整合性がとれていない。例えば、 ・真昼間に呪文を唱えなくてもいずみの前に現れた”鏡子さん”は、いずみが自分の娘 だから…という伏線かと思いきや、最後の最後に襲いかけて綾取りの紐を見て初めて 気付いた素振りを見せる(何だそりゃ?) ・刑事は何のために”鏡子さん”の死を自殺ということにしたのか。そして娘である いずみに対して、真相に辿り着く危険性があるにも関らず何故南鏡子の存在をわざわざ 教えたのか。更に自分で教えたにも関らず真相を知られたといっていずみを殺そうと したのは何故か。 序盤における”鏡子さん”の登場シーンは、製作者側が明らかにただ見せたかっただけ にも関らず、その方法論は凡庸で、既存のホラー作品の域を少しも出ることはなかった。 オチも中途半端(結局いずみは刑事に殺されたのか?)で何のカタルシスもない。 まったくの駄作です。 ■部長OL →何かのはずみで男女の意識と身体が入れ替わって…って何年前のアイデアだよw 中学生向けのライトノベルでも今時こんなガジェットは使わんぞ。 正直、映像作品を作るプロがここまで志が低いのは末期的にヤバいと思います。 中盤までの展開もお互いの立場で物を見ていって、相互の大変さを理解しあうという ヌルい展開で面白みも何もないし、オチも詰まらない。 前エピソード含め、ここまで観たことを後悔しました。 ■昨日公園 →同じ時間の輪廻の中で、起こることは決して変えることができないというアイデアは、 H・Gウエルズの「タイムマシン」に代表されるように超古典的な部類に入るものであり ますが、決して変えることのできない過去において、守りたい人の本当に大切なものは 何かという問いに対し、その輪廻を断ち切る決断の辛さ、という部分はそこそこ良く できていたと思います。 一回目…過去は変えられない 二回目…やっぱり過去は変えられない 三回目…それどころか家族にまで被害が 四回目…家族全滅。最悪の結果。 それぞれ主人公が時間の輪廻の中において理解していくという意味付けがされているのは わかりますが、さすがに変わり映えのしないシーンを何度も見せられるのは少々退屈。 最後に主人公自身も逃れられない死の輪廻の中にはまっていると気付くことを示唆させる オチも良かったです。 しかし堂本光一のクサい&クドい、どうしようもない演技は何とかならなかったものか。 ■猫が恩返し →孤独な主人公が飼い猫が人間だったらいいのに、という思いに対して、猫が姿を消した と同時に現れた不思議な男…の件はそこそこ面白かったのだが、やっぱり細部がおざなり で、構成としてはいまいちでした。 それにしても”木に風船を引っ掛けてしまって泣いている子供”の使い古された シチュエーションをここまで堂々と物語のキーポイントに持ってくるセンスには脱帽です。 …って言うか作り手にとって時代は何年前でストップしているのでしょうか? 男がニセモノと分かった時点でオチは読めましたが、都合よく男が居る間に何故猫は姿を 消していたのか、そしてどうやって絶妙のタイミングで現れえたのか、という部分に 説得力がないため、取ってつけた感は否めません。 ■家族会議 →交通事故で両親と子供の三人家族が生死の境を彷徨う中、”声”が、家族ひとりを殺せば 残りの2人は助かると示唆する。 疑心暗鬼やサスペンス風の演出はそこそこ面白かったが、ひとえに渡辺いっけいの怪演に 支えられたものと言えなくもない。 シニカルな展開に反して結末はきれいにまとめられすぎている感はあるが、他の エピソードのレベルが低すぎるのでこの中では良くできているほうなのではないでしょうか。 総論としては、全体的にレベルが低いと思います。 少し気になったのは、アイデアレベルの古くささは百歩譲るとしても、演出における 「今日びそれはなかろう」という決定的にどうしようもない感覚の古さであります。 「世にも奇妙な物語」って、若手の映像クリエイターが作っているという印象だったのですが、 最近は違うのでしょうか? 単発の小品だからこの程度でいいかと手を抜いているのかどうかは知りませんが、いずれに しても今後の日本の映像作品の未来は暗いと思います。 前回に引き続いてのショートストーリーも、今回は特筆すべきものはありませんでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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