おサルの過去
おサルが3歳くらいの頃、ジャスコで迷子になったことがある。その頃のジャスコは、屋上の駐車場を入れて、3階建てになっていた。当時付き合っていた彼と3人で、クリスマスプレゼントを探しながら、おもちゃコーナーを歩いていた時、ふと私は、一人足早に棚の反対側を見に行き、同時に彼も、別の棚に向かって歩いたのだった。その時、互いにおサルの手を離してしまった空白の時間があり、私が振り返った時、もうそこにおサルの姿は無く、相方を見ると彼も一人!慌てて周辺を探すも、ジャスコは横長の店舗で、意外に広い。完全におサルを見失ってしまった。まさかの迷子だ!しかし、二人でこの場を離れることもできず、私がそこに留まる事にして、彼が2階フロアーを走り回った。それでも見つからず、店内アナウンスで呼びかける事に。1階の階段下がサービスコーナーになっていて、店員の方にアナウンスをお願いした。「お母さんはこの階段下で待機していてください。」と言われるが、ただ待つ事が、辛い。まだ、一人でエスカレーターにも乗れないのに、一体何処へいったのか?エレベーターやトイレに閉じ込められてはいないか?もしや、一人で店の外へ行ってしまったのでは?駐車場で事故にでも遭ってやしないか?次々と最悪の事態を想像してしまい、背筋が凍る。アナウンスから5分が経っても、何も連絡がない。こういう時、店員や警備員にマニュアルはないのか?一緒に探してくれている気配がまるで無いのだ。売り場を離れる訳にはいかないのかもしれないが、場合によっては、一刻を争うことだってあるはずなのに・・・。もう一度アナウンスしてください!とお願いし、何度か呼びかけてもらうが、時間ばかりが過ぎていく。近所に住む祖父母にも駆けつけてもらい、彼と一緒に探してもらうことにした。そうこうしながら、階段下で待つこと30分。私は不安で泣きたい気持ちだった。周辺を見渡し、ふと階段を見上げたその瞬間、階段の上に、おサルがひょこりと姿を現した。私は急いで階段を駆け上がり、おサルを抱きしめながら「今まで、何処にいたの?」と訪ねると、「ママを探してたら、お兄さんがここまで連れてきてくれた。」という。その「お兄さん」は、私の姿を見て、「あれがママ?」と娘に聞くと、その場から立ち去ってしまったそうだ。お礼も言えなかったが、本当に有難かった。・・・なーんて事もあったよねぇ・・・・と私が話すと、おサルが「ああ、あれね。よく覚えてないけど、お兄さんに、屋上まで連れて行かれた気がする。」と言う。「はぁ!?」何じゃそりゃ!だって、あんたあの時、「お兄さんがそこまで連れて来てくれた。」って言ってたじゃん。「なんとなく、屋上に連れていかれた気がするんだよね・・・。」「何もされなかったよね?」「うん、多分。よく覚えてないけど・・・。」お兄さんは果たして本当に良い人だったのか・・・?どちらが真実なのかは謎に包まれたままである。でも、おサルが今、無事に目の前にいるのだから、よしとしよう。娘を育てるのは本当にしんどい。娘に限らないのかもしれないが、今の世の中、恐ろしすぎる。多分これから、もっと心配事が増えるんだろうな・・・。