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January 11, 2007
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カテゴリ:思うこと
 今日水疱瘡のその後を診て貰ったかいくんは順調に治癒してきていると
いうことで、見事に明日からは登園してもいいというお言葉を頂きました。

 明日はもう金曜日だし私の内職も一段落ついたので思い切って明日も
休ませてかいくんと家でかるたをしたり、お出かけをしたりしてもいいかな~と
思ったのですが、本人が行く気満々なので明日からようやく新学期開始です。
「おかあさんと何かして過ごそうか?」
といったら
「いい。保育園に行く!」
とキッパリといわれてしまいました(涙)。
 お友達と遊ぶ方が楽しいよね~。と1人スネる母でした。


 病院で診察が終わり清算を待っていると目の前の長椅子に座っている
中学生くらいの男の子が不意に大声で笑いました。
びっくりして顔を見るとかいくんの方を見て笑っているのですが、様子が変です。
何となく目をあわさないようにして様子を窺っていると、多分、なのですが
障碍のあるお子さんのようでした。

 意味も無く人の顔を凝視したり、頭を左右にブンブンと振ったり
そしてまた高笑いしたり、1人でブツブツ何かを話したりしていました。
私は目が合いそうになると何気なく視線を逸らしていました。

 何となく気持ちが悪く思えて、もしも目が合って何か面倒なことにでもなったら
どう対処していいものか、と、私が今までに見てきた障碍児・者のことを思い出し
係わり合いにならない方がいいと思ったうえでの行動だったのですが、そこで
不意にかなくんのことを思い出しました。って、遅すぎですね(汗)。

 今までは幸か不幸か私は健常者の世界しか知らなくて、その中でぬくぬくと
育ってきていて、だからこの自分の知っている狭い世界の中に障碍を持った方が
入ってくると、はっきりいってしまえば不快感がありました。
 「違う」ということを敏感にキャッチしてあまり近寄らないように、関わらない
ようにと生きてきました。

 だけれども、愛しい我が子がよりにもよって私が今まで接するのを極力避けて
通ってきた「障碍児」でありました。

 その「障碍児」であるかなくんは我が子だからか本当に可愛いです。
そして愛おしくて宝物で私の中では障碍の有無なんかどうでもいい「我が子」です。

 かなくんが生きていくこれからを憂慮して、自立支援法とか世間の目とか
いろいろな差別に理不尽な思いを抱いたり、悔しかったり、悲しかったり
そういう思いを普通の母親以上に体験して飲み込んで歩いてきたというのに
突然の見も知らぬ「障碍児」に対しては目を逸らしてしまう自分が情けなかったです。

 かなくんからいつもいろいろなことを教わって、どんな人にもどんな事にも
優しくありたいと思いながら、それが全く生かされていないということが
本当に悔しかった。

 その子を受け入れられないということは、かなくんを受け入れられないということ。
 その子を否定するということは、かなくんを否定するということ。
 その子から目を逸らすということは、かなくんからも目を逸らすということ。

 
 まだまだというより、全然ダメな母ですね。
自分で自分にがっかりです。


 その男の子の横には母親らしき女の人が座っていました。
目を軽く瞑ってうたた寝をしているような、何か瞑想に耽っているような
そんな穏やかな顔をされていましたが、その人の右手は隣の男の子の
ウインドブレーカーの裾をしっかりと握っていました。
 時々奇声に近い高笑いをあげる男の子に、目を瞑ったままで何か二言三言
言葉をかけて落ち着かせているようでした。
 男の子は戦隊もののポケットティッシュを大事に握り締めていて
時々それを通り過ぎる人に見せびらかしたり、体を小刻みに動かしたりしていて
それでもその間母親らしき人はずっと軽く目を瞑ったままでした。

 不意に、私の中でその男の子のことやこれまでのこと、母親としての
育児や考え方などを聞いてみたい衝動に駆られましたが、当然面識のない方なので
声をかけるのにどういったものやら逡巡しました。

 が、つい先ほどその男の子を敬遠したい気持ちや態度を表した私が
そのお母さんに何をどう聞くというのか、と思ったらとても声はかけられませんでした。
声をかけるにしても
「失礼ですが、お子さんは何か障碍がおありなのですか?」
みたいなことを言うことになってしまうし、そこで不愉快な表情をされたら
「いえいえ、実は私の子供も知的障碍があるのですよ。
  ですから、もしもよければ今までの子育てや苦労話などを参考までに
   お聞かせ願えませんでしょうか?」
といえばいいのでしょうか?
 それこそ高慢な物言いですよね。
同じこちら側の人間だから話を聞かせてよ、なんて言えないし聞きたくもないものです。

 そうこうしているうちに名前を呼ばれたようでそのお母さんが目を開けました。
穏やかに男の子にまた何か声をかけて立っていかれました。
その間ずっとウインドブレーカーの裾は握ったままで、そのままの姿勢で歩いて
いかれました。

 とんでもなく後味の悪い気分を抱えながら、上着の裾を握り締めて我が子と歩く
そのお母さんを見送りながら、何年後かの自分と重ね合わせてしまいました。

 そのお母さんは決して眠かったわけでもなく、物思いに耽っていたわけでもなく
健常の世界をあの男の子と、眠っているかのように静かに歩んでいるのかなぁと
わけもなく思ったりしました。


 帰宅してからも大切な機会を逸したような気がしてなりません。
あの男の子の視線をまっすぐに受け止めて、あのお母さんといろいろなお話ができたら
良かったなぁと、今でも悔やまれます。
 あの男の子を直視できなかった私はその時確実に『偏見』に凝り固まっていて
恥ずかしい大人・恥ずかしい健常者の1人でした。







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Last updated  January 11, 2007 10:00:06 PM
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