忌野清志郎さんが闘病の果て、遂に逝ってしまわれました。中学時代にRCサクセションの大ファンだった同級生のO君の強力な誘いに抗えず、横須賀文化会館での全盛期ライブを初体験した時の記憶をポツポツと思い出しています。最後列に近い座席でメンバーの姿もほとんど見えなかったのですが、舞台袖からゴムまりみたいに現れたカラフルな清志郎さんの姿は全く強烈でした。
当時はビートルズやニュー・ミュージックに夢中でRCの楽曲は「雨上がりの夜空に」くらいしか知らず、気がついたらショウが終わってしまったという不完全燃焼ライブでしたが、その後ローリング・ストーンズ、オーティス・レディング、ジェイムズ・ブラウン等を通して耳と感性を鍛えた上で接したRC、そして清志郎さんの底力に恐れおののき、すっかり魅了されてしまいましたねえ。
初期のフォーク時代も大好きですが、紹介盤「ラプソディー」時代がやっぱり最高です。1980年4月5日、既に取り壊され新霞が関ビルディングに姿を変えた久保講堂におけるワンマンライブの実況録音盤ですが、この「ネイキッド」ヴァージョンは当日のライブをオーバーダビング無しでフル収録した完全盤。オープニング曲「よォーこそ」からラスト曲「指輪をはめたい」まで漲るエナジーとテンションで怒涛のように突っ走る、日本ロック史上に残る大傑作ライブです。
仲井戸“チャボ”麗市と小川銀次のツインギターはキース・リチャーズ&ミック・テイラーを彷彿とさせ、コーラス金子マリ、サックス梅津和時のサポートも強力。そして何よりも清志郎さんのボーカルが尋常じゃなく素晴らしい!ジャンプナンバーからバラードまでカリスマとしか思えない溢れる歌心で、聴き手を飽きさせず感動させてくれること必至です。DISK2-7の坂本九さんのカバー「上を向いて歩こう」に、事実私は涙を堪え切れなくなりました。
DVDは厳選された6曲のみ収録盤ですが、RCのステージングが観られるだけで有難い。吉田拓郎さんも何とかガンを克服してくれ、間もなく自身最後の全国ツアーに船出するというのに清志郎さんの死が悔しくてなりません。今夜は私の最高のお気に入り曲「トランジスタ・ラジオ」を口ずさみながら、故人を偲ぼうと思います。