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カテゴリ:ロック(洋楽)
たまの休みもあっという間に終わってしまいました。郊外のスーパーへ嫁と食料品の買い出しに出かけただけという、全く非文化的な一日でした。読書は通勤電車の中で何とかできても、映画を観られないのが辛いですね。感性を磨滅させないように、せめて音楽にだけは接していきたいところです。
最近私のブログにお越し頂いているU様に敬意を表して、今宵のBGMはサー・エルトン・ジョンにしてみました。もともと私の音楽鑑賞履歴は歌謡曲を除けばビートルズから始まっており、そこから体系的に色々な音楽に触れてきた訳ですが、とりわけピアノ弾き語り系シンガーソングライターへの思いが強いのですね。 言うまでもなくサー・ポール・マッカートニーを頂点とするスタイルであり、洋楽ならばエルトン・ジョン、ギルバート・オサリヴァン、ビリー・ジョエルが三傑。邦楽ならば財津和夫、原田真二、KANといったお歴々の才能を今も崇め奉っています。一方で天才的なボーカリストにも強く惹かれまして、ロック系ではロッド・スチュワート、ポール・ロジャース、スティーヴ・ウィンウッド、エリック・バードン、スティーヴ・マリオット、この五人だけは何があっても絶対に外せません。その辺りについても追々書かせて頂きます。 さて、今聴いているエルトンの4thアルバムですが、希代の天才作詞家バーニー・トーピンとパートナー関係であった黄金時代に発売された作品にもかかわらず、最も地味でセールス的にも伸び悩みました。著名なヒット曲が未収録、おまけにセンスの欠片もないジャケットと来ては致し方ないかも知れませんが、私はエルトンの真髄が最高に発揮された傑作として昔から評価し、愛聴してきました。 特にレコード時代はA面であった1~4曲目の流れが秀逸です。4曲目で若干声が裏返るところだけが玉に瑕ですが、終始伸びやかなエルトンの歌声と華麗なピアノ、さらに全編を覆うポール・バックマスターの気宇壮大なストリングス・アレンジがもう絶品!弦の低音を際立たせた編曲は、多分に英国王立音楽院でチェロ演奏を専攻したという経歴に由来するのでしょう。ローリング・ストーンズの名盤「スティッキー・フィンガーズ」収録曲「スウェイ」「ムーンライト・マイル」もバックマスターの編曲あればこそ傑作となり得たのだと、今更ながら痛感します。 5~8曲目はさらに地味さに拍車がかかりますが、売れ線狙いに甘んじずアルバムの統一性を重んじたエルトンの姿勢と多様な音楽性に焦点を当てましょう。そして何と言ってもラストを飾る「グッドバイ」!数百曲あるエルトン・ソングのベスト曲と断言します。この2分弱の小品に漂う絶望的な暗さと寂寥感、それは生への諦念でしょうか?シューベルトの傑作「冬の旅」を凝縮したような無常の世界観を、是非一度体験してみて下さい(youtubeで容易に聴けます)。暴挙と罵られそうですけれども拙訳も下記に記しておきました。あー恥ずかしい。 グッドバイと言えば、太宰治の未完の絶筆となった小編のタイトルでもありました。そちらもある意味で喜劇的ではあっても寂寞とした、太宰晩年の心境を垣間見られる作品でした。来月で私も天才バカボンのパパと同じ41歳になってしまいますので、ここらで波瀾万丈の半生を振り返りつつ、今後の生き方を真剣に考えてみたいと思います。それではハンス・ホッターの東京文化会館大ホール・実況録音盤「冬の旅」を聴きながら、ペンを置きます。おやすみなさい。 「グッドバイ」 by エルトン・ジョン 今、全てが終わった 鳥達が再び巣に戻る 僕はただ雪を降らせるだけ、太陽が昇る時に そして雨が降り始める時にだけ、陽を照らすのさ 飲み物が欲しければ 僕の手を握っておくれ ワインが大地に流れ、僕の羊達も潤うから 僕は鏡、月を映せる鏡 君のために歌を書こう 君の銀の匙にもなろう ごめんよ、時間を無駄に費やした 僕は韻を踏まない詩だね どうか少しだけページを返して 僕は弱り、衰える そして消え去ろう 消え去ろう、消えよう 永遠に
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