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カテゴリ:クラシック
村上春樹の最新作が巷を賑わせていますね。テレビのニュースで新刊を買い求めた中年男性が「村上春樹にハズレ無し!」と臆面もなく絶叫したとか。読む前から随分と思いきったことを言い放つ輩もいるものだ。聞いているこちらが赤面しそうになります。
私は昔から苦手な作家なのですが、文中にジョージ・セル指揮+クリーヴランド管弦楽団のヤナーチェク作曲「シンフォニエッタ」が出てくると聞き及び、久しぶりに所有しているノイマン指揮+チェコ・フィル盤を聴いてみることにしました。 が、しかし!この曲も私の嗜好からは外れてしまうことを再認識するに止まってしまいましたね。セルは好きな指揮者なので、そちらを聴けば開眼する可能性はあるかも知れませんが、土着と洗練を行ったり来たりの中途半端な楽曲に思えてなりません。 そんな訳で口直しに弦楽四重奏曲、それも第1番「クロイツェル・ソナタ」をアルバン・ベルク四重奏団の実況録音盤で聴くことにしました。トルストイの同名の中編小説に触発されて作曲されたというだけあって、主人公ポズドヌイシェフの妻に対する憎悪と不倫への疑念が次第に膨張していく過程を想起させる曲調が刺激的です。やっぱりヤナーチェクの作品ならば断然こちらを好みますね。 そのトルストイの小説は、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル・ソナタ」がモチーフになっていました。エロイカ交響曲と同時期の作品だけに、堅固な構成が素晴らしい!特に第1楽章の緩急自在さが鮮やかなグリュミオー+ハスキル盤がお薦めですが、そのプレスト部分にポズドヌイシェフが心を掻き乱され、妻殺害へ突き進んでいくという展開がトルストイの独創性を物語り、また文豪自身の劣悪な夫婦関係を示唆していると言えましょうか。 ともあれ、今の私には他人事とは思えない小説。夫婦仲を維持するためにも、日曜日は二人で鎌倉散策にでも出かけてみようかと思います。明月院の紫陽花が見頃でしょう。それでは、ここらでおやすみなさい。
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最終更新日
2009.06.13 08:09:43
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