今日はロベルト・シューマンの命日でした。これまでも何度か取り上げて来た通り、シューマンは19世紀ロマン派随一の傑物だったと思います。僅か20余年の間に生み出された膨大な名曲群が雄弁にその才能を物語っており、クラシックの作曲家の中でも私がとりわけ愛する偉人です。
今夜のBGMは、イェルク・デームス(デムス)のシューマン・ピアノ全集から『子供の情景』を選択しました。その昔はフリードリヒ・グルダやパウル・バドゥラ=スコダと共に「ウィーン三羽烏」と言われた時代もあったそうな。派手さはありませんが堅実でロマンチックなピアニストですね。
『子供の情景』は「トロイメライ」で名高い組曲ですけれども、私は1曲目「見知らぬ国と人々について」が最もお気に入りです。真正面に対峙するのが空恐ろしくなるくらいの、1分半のシンプル且つ完璧な構成美。何度もリピートで聴きながら、無邪気に毎日を過ごしていた少年時代の夏休みを回想しています。生涯に一度だけ夢が叶うならば、あの頃に戻ってみたい。21世紀はいささか暮らし難い時代だから。。
デームスは幸い元気に、傘寿を過ぎた今でも演奏活動を継続してくれている模様です。YOUTUBEでも、おそらく最近の記録と思われる『子供の情景』のライブ映像が確認できました。素人が隠し撮りしたみたいで画面がちょこちょこ動き雑音も入りますが、是非ご確認下さい。単独CDは入手困難につきオムニバス盤を、他のピアニストではケンプ&田部京子さんを推奨しておきます。それではまた。
【子供の情景~見知らぬ国と人々について、他/イェルク・デームス】