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2005.03.21
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カテゴリ:レビュー
ベストセラー小説、フランシス・メイズの『イタリア・トスカーナの休日』を、「写真家の女たち」のオードリー・ウェルズ監督で映画化したのが、この「トスカーナの休日」(Under the Tuscan Sun)である。

 サンフランシスコ。フランシス(ダイアン・レイン)は作家だが、最近は書評で評判を得ていた。が、突然の夫の浮気発覚、離婚。家を明け渡した失意の彼女に、友達のパティは妊娠でいけなくなった「ゲイツアー・トスカーナの旅」をフランシスにプレゼントする。
 迷いながらも旅に出たフランシスは運命的なものを感じ、一軒の古い家を購入し、トスカーナにとどまることを決意する・・・。

 いわゆる「女性の成長物語」である。しかし、この映画最大の魅力は、その再生の過程でも、もちろん魅力的ではあるものの、ダイアン・レインのかわいい中年女性ぶりでも、また、美しいイタリアの景色でもない。この映画の魅力は、その「気楽さ」にある。
 死語となってしまったが、かつて、「カウチポテト」という言葉がはやったことがある。カウチでのんべんだらりとポテトチップスでも食べながらビデオ鑑賞を楽しむ、というあれだ。「トスカーナの休日」は、まさにこの「カウチポテト」にうってつけの「気楽な」映画なのだ。
 
 一人の女性の再生の物語でありながら、その語り口はあくまでも軽快だ。浮気をされた側であるのに家を追い出され、単身者用のアパートに移り住んだフランシスの惨めさはコメディタッチで描かれ、「ゲイ・ツアー」で戸惑う様子もまたおもしろい。そして、トスカーナの美しい景色。随所に出てくる美しいイタリアの田舎の景色は、叙情的でも芸術的でもなく、さらりと、ある意味セットのようなさりげなさで、それでいて登場人物の振る舞いや会話の中でロマンチックに描き出される。じっと胸に響く景色というよりも、あくまでもイタリアらしいロマンを演出するためのイタリア、であるのだ。

 登場人物にしてもそうだ。高校時代、友人と「待ち合わせ、イタリア男ならどうやって待つと思うか?」という笑い話をしたことがあるが、右手にジェラート左手にパスタを持って噴水の前に立ち、女が前を通ると「ベニッシモ!プレーゴ!アマコルド!(意味不明)」と口笛を吹いている、と想像したイメージ、そのままのイタリア人が目白押しである。自称フェリーニの知り合いで、いつもジェラートを食べながら現れる女性キャサリンや、くどき文句も名前も典型的なイタリア男のマルチェロ、といった、アメリカ人が、そしてわれわれ日本人が、想像するとおりのイタリア人ばかり登場するのである。
 
 これを紋切り型で深みが無い、ととらえる真面目な視聴者もいるであろう。しかし私は逆に、この、悪く言えば深みのなさが、「気楽に」見れる娯楽映画としての最高の魅力なのではないかと思う。見ている側に自己を深く考えさせたり、心にずしんとのしかかるのではなくて、風がさっと通り過ぎたような、そんな軽妙さ、さわやかさ。ダイアン・レインはこの軽妙さをそこなわない程よいコメディエンヌぶりを発揮している点で、ゴールデン・グローブ賞をとるのも納得である。ちなみに、パティ役のサンドラ・オーは、「アバウト・シュミット」のアレクサンダー・ペイン監督の奥さんである。

 軽妙で気楽、濃すぎず重すぎず―単純なアメリカ娯楽映画として、「カウチポテト」でもするか、な気分の女性たちにお勧めしたい一品である。

映画として 7,5/10
単純お気楽娯楽映画(女性用)として 10/10









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Last updated  2005.03.21 22:42:50
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