冠婚・葬祭・森羅・万象

関西で古都といえば京都と奈良が思い浮かぶ。
週末、登山の先輩でありアウトドアメーカーの社長でもある
Ｔ社長のご自宅にお邪魔していた。

Ｔ社長のご自宅は設計・建築に２年以上かかった和風。
名刹の関連施設のあった土地に立てられた建物は
数百年立ちつづけているであろう樹木を避けるように
プランされている。
外人客をもてなす茶室もその大木の陰にひっそりとたたずんでいる。
伐採する事は簡単だし経済的だ。でもこの場所ではそれは駄目だと
考えた経営者。凄い。そして木造の建物の材料は米国から輸入した
廃材（樽などに使われていたもの）。
リサイクル住宅。
アウトドアメーカーでは世界的企業。
考え方も生き方も筋が通っている。

どうも奈良という場所は京都と違って　派手さはないが
心がやすらぐところである。

その社長宅から一歩外に出ると、春日原生林があり
行った週末は万燈祭がありとても神秘的な時間を過ごせた。
（Ｔ社長は自分の庭ですわと大笑い、
そしてその裏庭？夜の浮御堂でＴ社長自慢の横笛の演奏会。
とても幻想的な時間でした。）

翌日快晴の原生林を抜け、春日大社、３月堂、２月堂、東大寺、浮御堂
そして社長宅へ午前中いっぱい奈良ハイクを楽しんだ。
名刹の説明や事業の考え方、生き方などのお話を交えながら。

高い建物が少ない奈良。
古い町並みの点在から言えば京都だろうけれど
どうも京都は落ち着かない。

京都へ行くと気合いが入ってしまうのだろうか？
それとも霊気？なんて思う。
週末の車の渋滞は同じ。
でも喧騒感は京都の方が上。

なぜだか理解できないけれど、奈良は落ち着く。
京都にお住まいの人教えて下さいませ。

まあそんな週末でしたが、街づくりには思想が大切。
最後にその社長から聞いた話が一番印象的だった。

社長宅近くにある志賀直哉記念館。
志賀直哉は奈良から出る時に、
「奈良公園管理事務なんて必要ない」
と言ったらしい。
なぜ？
管理事務所を作ると管理するために原生林を伐採するからだとか。
現在も管理事務所を維持するために　樹木を伐採しているそうだ。
なんか本末転倒。
それをよんで奈良を後にした志賀直哉って凄い。

今さらながら京都も高さ制限をした。
遅きに失したきもするが　まだ間に合うのかな？

住んでる人は大変かもしれないけれど
古都は世界の大切な大切な街。

街並みにあった寺社仏閣。
なぜその場所に建立されたのかが解る
街並み。
ビルの間に見る寺社仏閣、古い建物はどこか物寂しい。

葬祭会館を設計・デザインしている私たちも
街並みにあった、将来にわたって近隣の皆様に必要とされる
施設づくりをして行かなければと改めて強く心に刻んだ週末だった。