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カテゴリ:本・雑誌・漫画
私の貫井作品3冊目は創元推理文庫かれ出ている『プリズム』。
小学校の女性教師が自宅で死体となって発見される事から 物語は始まるんだけど・・・ この物語は4つの章で出来ていて、その章ごとに主人公が異なる。 第一章『虚飾の仮面』では被害者の教え子で小学校5年生の“ぼく” 第2章『仮面の裏側』は被害者の同僚の“あたし” 第3章『裏側の感情』は被害者の元恋人“おれ” 第4章『感情の虚飾』は被害者と愛人関係にあった“ぼく”の父親である“私” それぞれが自己満足の為に犯人の予測をしていくんだけど、 “ぼく”は“あたし”を疑い、“あたし”は“おれ”を疑い “おれ”は“私”を疑い“私”は・・・ と無限ループ? この話は、実は明確な犯人が捕まらないのよ。 みんなそれぞれの目的の為に犯人を捜してるだけなので それらしい推理をして、自分で『コイツが犯人だ!』と決め付けて終了。 しかし、“ぼく”が犯人だと思った“あたし”。 だけど、2章ではその理由がくつがえされ、 3章では“あたし”が犯人だと思った“おれ”の真実が明らかになる。 4章では・・・とそれぞれの章が前の章の理由を崩すという 推理の構築と崩壊の繰り返し。 読み始めの主人公は小学生の“ぼく”なので、子供口調で書かれているため このまま全編続くのかと思って 「オイオイ!ちびっこ向け推理小説か?」と電車の中心で叫びそうになったが そんな事にならなくて一安心。 各章納得のいく推理が繰り広げられ、「なるほど~!」と頷くばかりです。 で、次の章でその推理をガラガラと崩される訳だが(笑) もう、何回騙された事かと・・・ 『プリズム』とは 『ガラスで出来た多面体で光を分散・屈折・全反射・複屈折させる光学部品』 なんだそうだが、これは各主人公たちが繰り広げる、何通りもの推理と それぞれが思っていた、被害者への思いとそれぞれが受け止めていた被害者の人柄が まったく違うという事などをひっくるめて『プリズム』なんじゃなかろうかね? まぁ、“私”が文中で被害者の事を 「目まぐるしく姿を変える万華鏡か、あるいは様々な色の光を乱舞させるプリズムのようだった」 と言ってますがね。 最初は「なんでプリズムやねん?」と疑問だったんだけど 最後まで読み終えてみると納得のタイトル! もう、貫井さんたらタイトルの付け方までステキなのね(はあと) と、メロメロになったしだいです。 最後に“私”は自分の息子である“ぼく”とその仲間たちを 犯人として推理するんだが、1章を読む限り、それは成り立たない推理だと思う。 まぁ、仮に主人公の推理は当たっていて、睡眠薬を入れたのは彼らだってことにする。 すると、彼らは殺す気はなかったので、被害者は事故死という事になる。 しかし、小学生の彼らに睡眠薬を入手してチョコレートに仕込むことが出来ただろうか? それに彼らが陥れたいのは、破廉恥教師のはずだから、“あたし”を疑うのは おかしな結果になっちゃうよな? じゃぁ、犯人は誰なんだよ! 嗚呼、悶々とする~! こんな時は次の本を読むに限る。 と、言う訳で来週からは『迷宮遡行』を読みます!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.12.04 17:49:46
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