テーマ:泣いた漫画は?(266)
カテゴリ:コミック/小説
「デコトラの夜」全2巻 山田睦月・菅野 彰 新書館 地元の信用金庫に勤めてはや3年。 生きてるんだか死んでるんだか25歳の冬。一応妻子(子は予定)あり。 集金に行ったスナックでヤクザの襲撃に巻き込まれ、 見知らぬ男と逃避行。 ・ ・ ・ 人生は色々と言うけれど、こんな人生はちょっとヤダ。 でもまあ。 それでも生きていかないといけないメガネリーマン榊原祐一。
謎の男・タイヨー。 そいつは「ダメ。ゼッタイ。」厚生労働省のキャンペーン支持者だった。 チンピラから始まり、覚醒剤のルートを辿って。単身撲滅運動に勤しむ、トラック運送業。 俗に言う、デコトラの運ちゃんである。 1キロ1千万円以上の<小麦粉>をトイレに流す日々。 だが何の因果か。ふたりは全国指名手配の身と出世してしまった。 そして。 北へ北へと取引現場に進んでいくことに。 そんななか。 マタニティー・ブルーに陥るゆうちゃんに、 タイヨーは自分の経験を話す。 「こっちがおたおたしてたって ガキはどっからでも勝手に生まれてくるよ。大丈夫」 タイヨーのトラックには 自分のヨメとムスメのペイントがしてある。 それは幸福の象徴であり、タイヨーの消すことのない罪の象徴でもあった。 「教えただろ? カムパネルラとジョバンニは一緒には行けないんだ。絶対に」 「…………会えないんだ。もう」 っと。 ここまでシリアスな展開ですが。 基本的に菅野原作なので、笑いのなかにしんみり……といった感じです。 本編その後の番外編はコメディ感が強いですね。 ゆうちゃんの嫁がイイ性格していて、強くて格好良くて好きです。 タイヨーの過去は。 真夏のニュースでよくある話。 他人からしてみれば、なんてバカな親なんだと罵ってしまえる。 当たり前のことを、当たり前として受け取ることが出来ない、なんて信じられなくて。 誰が悪い訳じゃない。 だから。 ゆうちゃん嫁の美晴の抱いた気持ちがとてもよく判る。 胸の奥に広がっていく、静かな怒りだ。 ゆうちゃんは初めての友達を得た。 けれど、 タイヨーの旅はまだ終わることが出来ずにいる。 それでも、 形は不格好ながらも みんなが幸せであればそれでいい。 「幸せって逃げ出したくなるくらいおっかないんだ。きっと」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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