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2006年07月23日
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カテゴリ:コミック/小説
コミック(や行)デコトラの夜(1)コミック(や行)デコトラの夜(2)

「デコトラの夜」全2巻  山田睦月・菅野 彰  新書館

地元の信用金庫に勤めてはや3年。
生きてるんだか死んでるんだか25歳の冬。一応妻子(子は予定)あり。

集金に行ったスナックでヤクザの襲撃に巻き込まれ、
見知らぬ男と逃避行。



人生は色々と言うけれど、こんな人生はちょっとヤダ。
でもまあ。
それでも生きていかないといけないメガネリーマン榊原祐一。


死なないように生きていた
それが俺の二十五年間



謎の男・タイヨー。
そいつは「ダメ。ゼッタイ。」厚生労働省のキャンペーン支持者だった。
チンピラから始まり、覚醒剤のルートを辿って。単身撲滅運動に勤しむ、トラック運送業。
俗に言う、デコトラの運ちゃんである。


1キロ1千万円以上の<小麦粉>をトイレに流す日々。
だが何の因果か。ふたりは全国指名手配の身と出世してしまった。
そして。
北へ北へと取引現場に進んでいくことに。


そんななか。
マタニティー・ブルーに陥るゆうちゃんに、
タイヨーは自分の経験を話す。

「こっちがおたおたしてたって
ガキはどっからでも勝手に生まれてくるよ。大丈夫」



タイヨーのトラックには
自分のヨメとムスメのペイントがしてある。
それは幸福の象徴であり、タイヨーの消すことのない罪の象徴でもあった。

「教えただろ?
カムパネルラとジョバンニは一緒には行けないんだ。絶対に」


「…………会えないんだ。もう」





っと。
ここまでシリアスな展開ですが。
基本的に菅野原作なので、笑いのなかにしんみり……といった感じです。
本編その後の番外編はコメディ感が強いですね。
ゆうちゃんの嫁がイイ性格していて、強くて格好良くて好きです。


タイヨーの過去は。
真夏のニュースでよくある話。
他人からしてみれば、なんてバカな親なんだと罵ってしまえる。
当たり前のことを、当たり前として受け取ることが出来ない、なんて信じられなくて。
誰が悪い訳じゃない。

だから。
ゆうちゃん嫁の美晴の抱いた気持ちがとてもよく判る。


胸の奥に広がっていく、静かな怒りだ。




ゆうちゃんは初めての友達を得た。
けれど、
タイヨーの旅はまだ終わることが出来ずにいる。

それでも、
形は不格好ながらも
みんなが幸せであればそれでいい。



「幸せって逃げ出したくなるくらいおっかないんだ。きっと」









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最終更新日  2006年07月23日 17時19分15秒
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