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テーマ:食生活と健康(649)
カテゴリ:病気の一般的知識
数ヶ月前、私は、昔からの友人 M子さんに携帯電話をかけた。
電話の呼び出し音はしていたが、まもなく、留守電に変わってしまった。 その時は、「日曜日」だったので、 たぶん、家族とお買い物でも行っているんだろう・・と想っていた。 M子さんとは、1年くらい会っていなかった。 それでも、彼女が困った時は、 必ず私に、相談の電話があるので、便りのないのが「元気」の証拠と安心していた。 子供達も成人して、彼女の相談相手になってくれているから・・と。 ずっと会っていないM子さんは、(私が思うに)かなり波乱万丈の人生を送っていた。 でも、彼女はいつも明るく、タフな性格をしていた。 今でも、元気に仕事をしている・・・そう思っていた。 「久しぶりに会いたいな~」と思っていた私。・・・ たまたま、M子さんの住んでいる街に行く用があったので、 久しぶりに彼女のお店に車を走らせた。 (彼女は小さな居酒屋を開いていた) 「ひさしぶり~」 「元気ぃ~」 「どうしてた~ぁ」 そんな会話を思い浮かべながら、お店の前に行く。 「お店あるかなぁ?」お店の看板が見える。 「あれっ、いつもの場所に彼女の車がないよ」 「やっているかなぁ?定休日かなぁ?」 扉の前に立ってドアを開けようとすると、ドアは閉まっていた。 「えっ・・定休日?」 M子さんの携帯電話に電話をした。しばらくコールする。 「出ないかな? 帰ろうかな?・・」 「もしもし」聞きなれた声。 良かった!。 「M子さん、私、香子です。元気? お店にきたけど、やっていないから電話したの」 「私ね、5月まで入院していたの。お店も休みしている。」 その後、彼女が話してくれた内容、 それは、私にとって、とっても衝撃的な話だったんです!・・・。 彼女は、「くも膜下出血」で倒れてしまい、入院していたという。 今は退院して娘の処で暮らしているという。 娘のアパートは、お店の近くだけど、場所は良くわからないし、娘の携帯番号もわからない。 なじみのお店のお客さんも会ってもわからない。 (そういえば、電話の向こうの話し方も、少し話し方が変だ。舌が動かなくて話しにくそう、上手くリハビリできていないのかも?) 「じゃあ、何処に住んでいるのかわからないのなら、会いにもいけないね」と私。 「私は香子ってどうしてわかったの?」と聞くと? 「携帯番号に登録した名前でわかった」との事。 M子さん、「45歳」 娘2人と、二度目の結婚で授かった、小学生の男の子の母親です。 二度目のご主人とも別れて、ずっと母子家庭でがんばってきた。 ようやく、娘達も成人になって、これから、楽になるような気がした。 そんな矢先の出来事に、私は、「涙」が止まらなかった。 (明日、もう一度、娘さんたちのいる頃を見計らって連絡してみるつもりです。) M子さんは昔からかなりの、酒豪家で タバコもかなりの愛煙家でした。 毎日の生活習慣が成人病の原因になりやすいのも理解しています。 血液がドロドロ状態では、高血圧や脳梗塞などの病気になりやすいのも理解できます。 しかし、彼女はまだ、40代です。 ・・・若さと健康を過信してはいけない・・・と彼女が教えてくれたような気がしました。 家族と暮らせる健康をありがとう。 バレーボールができる健康をありがとう。 テニスができる健康をありがとう。 そして、仕事ができる健康をありがとう!。 心からそう思いました。 皆さんはくも膜下出血という病気を聞いたことがあると思います。 新聞の死亡欄でもよく見かけますし、ご家族や友人でくも膜下出血になって、亡くなったり、寝たきりになった方もいらっしゃると思います。 このことからも分かるようにくも膜下出血は重篤な病気です。 発症するとおよそ3分の1の方が死亡し、3分の1の方が障害を残しますが、残り3分の1の方は元気に社会復帰することができます。 このくも膜下出血は中年以上の人では脳の動脈にできた脳動脈瘤、若い人では生まれつき持っている脳動静脈奇形(AVM)というものが破裂し、出血して起こるものです。 脳は3層の髄膜で囲まれていて、その中間の膜がくも膜です。 脳動脈瘤は脳とくも膜の間にありますから、脳動脈瘤が破裂すると血液がくも膜と脳表の間に凄い勢いで広がります。 このようにくも膜の下に出血が起こるのでくも膜下出血といいます。出血は血圧と同じ圧で起こりますから、頭蓋内圧が血圧と同じになった時点で出血は止まります。 これが一瞬の間に起こり、それに絶えられないと呼吸が停止してしまい、突然死となります。 また脳は通常髄液という透明な液の中に浮いていますから、血液にさらされると色々なことが起こってきます。ですからくも膜下出血が幸いに軽症であっても、起こってから2週間は目がはなせません。 脳動脈瘤はよほど大きくなって周囲の組織を圧迫しない限り、何の症状もありません。 ですから元気な人でも突然脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血となる可能性があるわけです。くも膜下出血は脳卒中の一種です。 脳卒中全体の死亡率は年々減少してきましたが、くも膜下出血の発症数や死亡数は殆ど変化がありません。年間2万人程度の人が発症します。 【どんな症状】 くも膜下出血は突然の頭痛で発症します。 この頭痛は今まで経験した中で一番痛いものです。後頭部をハンマーで殴られたような痛みと表現する人もいます。 重症の場合は大声で叫び、倒れてそのまま呼吸が止まってしまう場合があります。 こういった重症例は15%ぐらいと考えられます。この場合、すぐにマウスツーマウスで人口呼吸をすれば意識が戻ってくる可能性がありますが、実行された例はほとんどありません。 中等症の場合は一瞬意識がなくなっても戻ってきます。 脳内出血と違い片麻痺等の脳局所症状が起こることは少なく、頭痛と嘔吐、意識障害が主な症状です。 軽症では頭痛が続き何となくおかしいという症状で、歩いて外来に来られる場合もあります。 くも膜下出血の危険因子は喫煙、高血圧、女性の経口避妊薬などがですが、高血圧の人に起こるとは限りません。 起こる時は睡眠中が10%、通常の状態が35%、排便や性交、重労働などの緊張や努力時が40%程度で、やはり力んだときに多いといえます。 くも膜下出血は全身にも影響を及ぼし、不整脈や目の中の出血を起こします。 くも膜下出血は軽症であっても、また病院に入院できても安心はできません。 くも膜下出血を起こした人の20%程度が再破裂します。これは最初の6時間で最も多くその後徐々に破裂率は下がってきます。 しかし再破裂はくも膜下出血の死因の大きな原因です。ですから入院して検査をして手術を待っている間にも再破裂する可能性があるわけです。更に手術後も安心はできません。 くも膜下出血は脳表に広がります。 今迄きれいな髄液の中に浮いていた脳が急に血液にさらされますので、脳や脳血管が様々な反応を起こします。 そのうち重大な症状を起こすものが脳血管れん縮といって脳の太い血管がギュッと縮んでしまうものです。脳血管が縮むとその先へ血液が行かなくなりますから、脳梗塞を起こして片麻痺や失語がでます。これは発症から1週間前後で起こります。 また髄液の流れが停滞して水頭症を起こすこともあります。 発症から安心できる状態になるには最低2週間かかりますから軽症でも1-2ヶ月の入院となります。一番影響を及ぼすのは最初の脳障害の程度です。 くも膜下出血以外にも脳内出血を合併することもあり、その場合には片麻痺などの症状が残ります。 また最初の出血で意識障害が強い場合は死亡や遷延性意識障害となる例が多くなります。 重症例も多いですが、3分の1の例で元気に社会復帰できます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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