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July 4, 2023
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カテゴリ:政治

国は法的な完了要件を

尾松 亮

検証TMIと福島

政府は「廃炉の前に進めるため」というフレーズで処理後の汚染水の海洋放出を正当化してきた。そして福島第一原発では2020年ちゅうの「(事故で溶け落ちた)燃料デブリ取り出し開始」を目指している。

しかし政府や東電が「福島第一原発の廃炉」と呼ぶ工程の先に「デブリ取り出し完了」や「原子炉解体」が約束されているわけではない。東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表は「『廃炉の最終的な姿』はわれわれ一事業者が決められるものではない」と述べている。そして政府と東電流ロードマップでは「廃炉の最終的な姿」に関する記述は、時を追うごとに、改定を重ねるごとに曖昧さを増しているのだ。

少なくとも諸藩「中長期ロードマップ(1912月)では「廃止措置終了まで(目標はステップ3040年後)」との記述にとどまり、この「廃止措置完了」が「デブリ取り出し終了」を含む状態であるのかは示されていない。

スリーマイル島原発事故(TMI—2、19793月発生)の先例では、自己から41年後にようやく廃炉計画の議論が始まった。202012月には米国原子力規制位階(NRC)が廃炉専門企業に同原発のライセンス移譲を認めた。TMIでは、すでに燃料デブリの取り出し・敷地外搬出は完了している(1990年)。今後は原子炉解体や敷地除染などを含む「廃炉作業」が実施される計画だ。

TMIの廃炉計画では、他の通常原発の廃炉と同様の廃炉完了要件が課せられる。連邦規則集の規定に従って、原子炉解体や敷地の基準値(年間0.25㍉シーベルト)未満への除染が義務付けられている。

「廃炉の最終的な姿」も国の規制によって数値基準とともに定められている。事業者が「原子炉解体」も「敷地更地化」も明確に約束せず、「最終的な姿はわれわれには決められない」などといえる余地はない。TMIの例からも、国が廃炉完了要件を法的に決めることがまず必要であると分かる。

(廃炉制度研究会代表)

 

 

【廃炉の時代―課題と対策―㉜】聖教新聞2022.3.15






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Last updated  July 4, 2023 05:30:50 AM
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