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カテゴリ:政治
議論を通し目に見える効果が 尾松 亮 海洋汚染の削減課す条約 英国北西部セラフィールドでは、1994年にソープ再処理工場が運転を開始し、海洋汚染の深刻化を懸念する周辺国からの非難が高まった。 海洋汚染低減に向けた法的効力のある合意を確立し、その実現に向けた国際ルールづくりを後押ししたのがOPSAR条約(北東大西洋環境保護を目的としたオスロとパリ委員会での条約)である。 同年の同条約締約国会議では、15カ国の締約国のうち12カ国がそもそもの汚染源である核燃料再処理事業の停止を求める決議を支持した。 このOSPAR委員会決議は「対象国の規制機関が優先的事項として再処理施設からの放射性物質放出に関わる現行の基準を見直すとともに、使用済み核燃料を再処理しない選択肢(例えば乾式保管)を検討するよう」求めている。このような法的枠組みを通じた周辺国からの圧力により、英国はセラフィールド起源のTc99の放出量を目に見える形で削減する必要に迫られた。 04年にはセラフィールドの運営事業者が、最新の処理設備を導入することでTc99no放出量を90%削減する計画を発表した。 「何年にも及ぶアイルランドとノルウェーの漁業者らによる要求により、運営事業者は1200万㌦を費やしてTc99を除去する化学処理システムを導入することになった」と英・ガーディアン戦は報じている。その後、セラフィールド起源のTc99の放出量は著しく減少する。 08年自低位でのOSPAR委員会の報告書はこの削減効果を次のように評価している。 「2002年~2006年の期間にセラフィールド起源のベータ線各種全体の方シュル量が減少しているのは、ガラス化処理によりTc99の放出量が著しく減少した結果である」 1995年時点で年間180テラベクレル(テラは10の12乗=1兆)以上放出されていたTc99が、2007年には5テラベクレルまで減少した。周辺国は条約を通じた議論で、目に見える削減効果を勝ち取ったのだ。 (廃炉制度研究会代表)
【廃炉の時代―課題と対策―㊿】聖教新聞2022.12.6 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 21, 2024 06:43:09 AM
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