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July 5, 2024
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カテゴリ:政治

実施されているのは防護計画

尾松 亮

福島第一に廃炉法を

福島第一原発の廃炉については「30年~40年の廃炉」というフレーズが繰り返されてきたが、同原発では「廃炉」を前に進めることはできない。なぜなら、同原発で行われている作業は正しくは、原子力施設の「廃炉(廃止措置)」とは言えないからだ。廃炉の前提となる「廃炉計画(廃炉措置計画)」も提出されていない。

IAEA(国際原子力機関)のガイドラインや原子力規制委員会の規則に従えば、原子力施設の「廃炉」とは「規制解除を目指す活動」と規定されている。

「規制解除」とはどういうことなのだろうか。原発には放射線管理区域などの特別な防護措置や行動規制を求める「規制」が課せられている。施設解体や除染を徹底することで、「規制」をなくし、敷地外の普通の地域と同じ扱いができるよう目指すのが「廃炉」である。

原子力規制委員会会則によれば、廃炉終了のためには「核燃料物質の譲り渡し」「放射線管理規則の指定機関への引き渡し」の完了など求められる。

つまり性と城は、核燃料が搬出され、放射線管理がこれ以上必要のない状態を目指すプロセスが「廃炉」である。

通常原発の「廃炉」であれば、前期の「規制解除」を目指す廃止措置計画を原子力規制委員会に提出し、認可を得る必要がある。例えば福島第二原発の場合、上記規則に従った廃炉措置計画の審査・認可を受けている。この計画を変更する場合には原子力規制委員会に審査が必要になる。

福島第一原発の場合、この廃止措置計画の提出も、原子力規制委員会による審査・認可も行われていない。「40年後の狩猟目標」を示した政府と東京電力のロードマップは「廃止措置計画」ではない。現在、福島第一原発で行われている作業は「規制解除」を目指す工程としての「廃炉」ではないのだ。

それでは、福島第一原発で行われているのは一体何なのか。原子炉等規制法によれば、事故炉がある原発には「特定原子力施設」という特別な位置付けが与えられる。

この「特定原子力施設」に対しては、通常原発に対する廃炉規制は適用されない。その代わり、自己でダメージを受けた原子炉施設や損傷した核燃料の安全性を保つための「保安・防護措置計画」の提出と実施が求められている。つまり福島第一原発で行われているのは、自己原発および損傷した核燃料の「保安・防護」に関わる作業である。

技術的に可能な営みの前に、法的には「廃炉計画」はない。この現実こそ変えていかなければならない。

(廃炉生徒研究会代表)

 

 

【廃炉の時代―課題と対策―59】聖教新聞2023.5.2






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Last updated  July 5, 2024 09:51:50 PM
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