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カテゴリ:社会
尾を引く移民系への差別 (ジャーナリスト 高橋昭一郎) フランス暴動 警官の17歳射殺で抗議が全土に拡大 フランスで17歳の移民系の少年が検問中の警察官に射殺された事件を機に、若者を中心とする暴動が全土に広がった。移民への根深い差別の問題が尾を引き、来年夏のパリ五輪にも暗い影を落としている。 事件があったのは6月27日朝。パリ西郊のナンテールで少年が危険な車の運転をしているとして警官隊が追跡した。尋問後、車が再び発進した瞬間に警官の1人(38)が発砲、アルジェリア・モロッコ系住民の2世の少年が死亡した。 警官は正当防衛を主張したが、銃を構えて尋問し、至近距離から少年の胸を撃つ様子を取った童画がSNS上に拡散した。過剰な検問に怒る若者のデモが広がり、一部が暴徒化した。 特に移民系が多いパリやマルセイユでは役所や警察署、学校、焦点が次々に襲撃され、1週間で約5900代の車両、1100棟の建物が放火・破壊された。 7月2にはパリ南郊のライレローズで暴徒が市長宅に車で突入して火を放ち、市長の妻子が負傷する騒ぎも起きた。4万5000人に上る治安部隊が全土で取り締まりを強化し、数千人を拘束した結果、暴動はようやく沈静化しつつある。
極右は排斥を要求 パリ五輪に不安も 事件の衝撃は大きい。 フランスでは2005年秋にもパリ郊外で警官に追い回されて変電所に逃げ込んだ移民系の少年2人が感電死した後、全土で3週間にわたって暴動が続いた。 当時のサルコジ内相(後の大統領)は、自由、平等、博愛を掲げる統合モデルが、「もはや機能しない。不平等を生んでいる」と嘆いた。移民らはフランス経済成長期の1960年代にアラブ・アフリカの旧植民地から労働者として流入したが、差別に悩まされてきた。 今回の事件は、人口の1割、推定700万人に達する移民系の人々に警官が今も不当な対応を続けていることを浮き彫りにした。 マクロン政権が有効策を打ち出せない中、移民系の若者の不満はくすぶり続ける。一方、昨年の大統領選で決選投票に残った極右・国民連合のルペン議員団長らは、移民の身秩序な受け入れ中止を要求している。 暴動を受けて移民排斥の動きが強まれば、国民の分断は一層深まりそうだ。 ルメール経済・財務相は暴動のパリ五輪への影響について「フランス経済は強靭だ。心配ない」と語ったものの、治安悪化を不安視する見方が出始めている。 【緯度経度 世界は今】公明新聞2023.7.11 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 1, 2024 05:17:40 AM
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