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October 5, 2024
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カテゴリ:医学

コレステロールを正しく知ろう

循環器内科部長  増田 大作さん

動物性の脂で体に必要な栄養素

コレステロールは、動物性の脂のことであり、人にとって必要な栄養素です。細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料となっています。

食事によってとるイメージがあるかもしれませんが、体に必要なものなので、肝臓など全身で常に作られています。

コレステロールは、血液中のタンパクにのって運ばれますが、その濃度が一定の数値を超えると、動脈硬化のリスクが高まり、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こします。

コレステロール値は食事によって変動しますが、糖尿病や甲状腺機能低下症、慢性腎臓病などの病気や女性ホルモンに関する薬が原因で高くなっていることもあります。

大事なことは、食事や生活習慣によってだけ異常値になるのではなく、遺伝的にコレステロール値が高かったり、他の病気が影響したりすることもあるので、混同せず見極めることが必要です。

ただ、そのためには医学的に冷静な判断が望ましく、思い込みは避けるべきです。心配な人は、日本動脈硬化学会の専門医がいる病院で診察を受けることをお勧めします。専門医のいる病院は、同会ホームページで調べることができます。

 

 

動脈硬化予防の生活習慣

動脈硬化を予防するため、喫煙は絶対にNGです。1本吸うだけで、格段に動脈硬化のリスクが高まると考えてください。受動喫煙も同じです。避けるようにしましょう。

予防には適切な運動が大切です。ジョギング、ウオーキング、水泳など何でもいいので、週3回以上、30分以上の少しの負荷を感じる程度の有酸素運動をしましょう。続けるためには、一緒に取り組む仲間を見つけることがポイントです。

運動が続かなくなり地番の〝敵〟は言い訳です。一人だと、「今日は雨だから」「忙しい日だから」と、やらない理由を探してしまうものです。

食事で注意したいのは、飽和脂肪酸。牛や豚など脂の多い肉、鳥の皮、乳製品などは、とり過ぎない様にしましょう。アルコールは1日ビール1缶程度まで抑えてください。

一方で、魚、緑黄色野菜、海藻、キノコ、大豆製品などは、摂取量を増やすように意識しましょう。伝統的な「日本食」が、動脈硬化予防に効果的です。

卵は、コレステロールの多い食材として有名ですが、数値が正常な人が多めに食べたくらいでは、影響はないといわれています。

 

 

無料アプリ「これりすくん」

脂質異常で病院に来る方は、恥ずかしそうに診察を受ける人が多い印象です。食べ過ぎ、飲み過ぎばかり指摘されてきたかもしれません。しかし、実際は体質の問題もあります。

コレステロールの生産が多い・回収が悪い・吸収しすぎる体質の人はとても多いのです。遺伝的に「家族性コレステロール血症」という病気の人も300人に1人います。

診察の際、蓄積された疫学データをもとに、年齢、性別、各数値、遺伝など、さまざまな情報で点数をつけ、総合的な判断をして、治療目標を決めていきます。

個人では、それを調べるのは簡単ではありません。そこで、の本動脈硬化学会では、一般の方向けに、コレステロールのリスクを調べられる、動脈硬化性疾患発症予防アプリ「これりすくん」を無料で公開しています。自分がどの程度、動脈硬化のリス子をもっているか、ぜひ調べてみてください。動脈硬化の予防のために効果的な食事や生活の情報も得ることができます。

まずは正しい知識を身に付け、動脈硬化の予防に努めていきましょう。

 

 

悪玉と善玉は〝運び屋〟

「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」という言葉を知っていますか。これらの働きと呼び方の理由について解説します。

肝臓で作られた中性脂肪やコレステロールは、リボタンパク質と呼ばれる〝運び屋〟によって、血管の中を進みます。運び屋は2種類あり、LDL(低比重リポタンパク質)が「悪玉」と呼ばれ、HDL(高比重リポタンパク質)が「善玉」と呼ばれます。

LDLは、トラックをイメージしてください。中性脂肪やコレステロールをのせ、中性脂肪はエネルギーとして使われ、残ったコレステロールを含むLDLは、細胞や血管の壁などを作るために使われます。

このLDLが過剰になると、〝渋滞〟〝事故〟を起こし、血管の壁にごみとしてたまっていきます。これが動脈硬化であり、壁が膨れて血管の内側が狭くなり、狭心症などを起こすのです。

一方、HDLは、ごみ収集車のイメージです。血管の壁にたまっているごみを、もう一度、肝臓に戻し、動脈硬化を減らす働きをします。

一般的にLDLは多いと悪いので悪玉。HDLは多いと良いので善玉と呼ばれます。ただ、両方とも体に必要なコレステロールを運び仕組みではあるのです。

 

 

ポイント

     食事だけが原因ではない。

     喫煙はNG、受動も回避

     伝統的な「日本食」が効果的

 

ますだ・だいさく 地方独立行政法人りんくう総合医療センター循環器内科部長、先進医療開発センターのセンター長などを兼務。産業医。専門は脂質代謝異常(食後脂質異常・レムナント代謝)、循環器疾患、未病医療、メタポリックシンドロームなど。メディア出演多数。

 

 

 

【健康プラス】聖教新聞2023.8.22






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Last updated  October 5, 2024 04:25:06 PM
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