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November 6, 2024
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「安心」して生きるために

自他共の「幸せ」に焦点(フォーカス)

インタビュー㊦ 日本大学文理学部  末富 芳教授

人権を守ると平和が創れる

——インタビューの前半では、子どもの権利意識を育むため、子どもが意見を表明する機会を奪ってきた「沈黙の文化」から、子どもの意見に耳を傾ける「対話への文化」への転換が重要であると伺いました。そもそも子どもの権利は全ての子どもが〝無条件〟に持っているものです。「義務」や「責任」を果たさないからといって奪われるものでも、果たしたからといって与えられるものでもありません。

 

まず改めて考えたいのが、「なぜ人権を大切にするのか」という点です。権利について学び合う場などでこうした質問を学校の先生にすると、答えに困ってしまう方々も少なくありません。私は一言、「『平和』を創れるからです」とお伝えしています。

「世界人権宣言」(1948年採択)の全文に、そう書いてあるのです。正確に言うと〝すべての人間の尊厳と権利を承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である〟とうたわれているのですが、ただ「自由」「正義」「平和」の三つを一遍に伝えても、みんな忘れちゃうので(笑)。私は「人権を守ると『平和』を作れる」と、シンプルに伝えています。

創価学会の池田名誉会長がこれまで、「対話」の目的を「平和」という一語をもって繰り返し強調されてきた理由についても、私なりに考えてみました。それは「平和」という一語の中に、「自由」も「正義」も含まれているのではないか——と。

人として基本的な自由が制限されている状況を「平和」とは呼べません。人権侵害の不正義が放置されている状況も「平和」とは呼べません。

 

 

ケアする人をケアして

——池田先生も次のように語っています。「『平和』とは『戦争がない』という状態ではない。『平和』とは『人間一人一人が輝いている』『人権が大切にされている』社会のことです」と。

 

自分の権利や尊厳が侵害された時、つらい時、苦しい時には、遠慮なく声を上げていい。それを受け止め、助けてくれる人も必ずいる。仕組みがある。だから安心して——そんなメッセージを、子どもたちに伝えられる社会にしていかなければなりません。

「こどもまんなか社会」の実現を目指すうえで、私自身は「安心」こそがキーワードだと感じています。

その参考として、一つのアンケートを紹介させてください。神奈川・川崎市が、2020年に実施したものです。同市は全国に先駆けて、「子どもの権利に関する条例」を施行しています。(2001年)。子どもと大人が一緒になって考え、何度も話し合いをしてできた条例でした。

条例には「ありのままの自分でいる権利」や「自分で決める権利」など七つの権利がうたわれているのですが、その中で「どの権利が大切だと思うか」との問いに対し、アンケートに回答した604人の子どもたちのうち半数以上が選び、最も多かったものが「安心して生きる権利」だったんですね。私自身も、各地の講演会などで子どもたちと語り合う際に、同様の実感を得ています。

子どもたちの誰もが、「今を安心していきたい」と願っている。虐待があったり、心身が疲れた時にゆっくり休ませてもらえなかったりする家庭には、安心がありません。いじめがあったり、教師から怒鳴られたり、理不尽なルールがあったりする学校にも、安心がありません。

どうすれば、家庭を、学校を、子どもたちにとって安心の居場所にできるのか——。『こどもまんなか社会』を築くため、私たち大人がみんなで考え、取り組んでいく必要があります。

とはいえ、子育ての中の保護者は何かと忙しく、「わが家を〝安心の居場所〟にと言われても、負担が大きい」と感じるご家庭も、少なくないでしょう。

だからこそ、地域で安心・安全の居場所をつくっていくことが大事になります。児童館であったり、子ども食堂であったり、近年はユースセンター(中・高生向けの放課後施設)にも注目が集まっています。

自らそうした「居場所」をつくることは難しくても、すでにある「子ども支援団体」への寄付などを通し、間接的に子どもを支えていく方法もあります。子どもを支援する団体にとって、現実的に一番助かるのが、「経済的な支援」です。もちろん、できることから実際に「お手伝い」することも、喜ばれます。どこも人手不足ですから。地域・社会全体で、物心両面において「子どもをケアする人たち」のことを「ケア」していかなければなりません。

 

 

 

大人も子どもも一緒の居場所に

——創価学会も、親御さんたちが子育ての悩みや苦労を安心して話し、ホッとできる「家庭教育懇談会」という取り組みを各地で実施しているほか、小中高世代のメンバー地日常的に関わり、支え励まし合う「未来部」という組織があります。今夏は全国各地で、この未来部を「真ん中」に置いた集い「〝未来〟座談会」を開催しました。

 

素晴らしい取り組みです。特に「〝未来座〟談会」は、大人の皆さんが子どもたちの意見に耳を傾け、それを取り入れる内容だったと伺いました。事前と事後に、代表の地域で子どもたちにアンケートを取ったのもいいですね。

事前の声で「(いつもの座談会は)大人向けの内容で堅いから、あまり楽しくない」という率直な意見を聖教新聞に載せたことも、事後に「楽しかった」「まあまあ楽しかった」という声が約9割ある一方で、ちゃんと「あまり楽しくなかった」「楽しくなかった」という声が掲載されていたことも、どちらも忖度がなくていい(笑)。子どもたちが安心して意見を表明できている証拠です。

〝地域の居場所が大切だ〟といっても、望ましいのは、「大人だけ」「子どもだけ」の居場所ではなく、「子どもと大人が一緒にいられる、一緒につくる、一緒に学べる」居場所だと、私は思います。そんな居場所をつくるには、大人が子どものことを決して下に見ず、子どもたちの力を信じることが第一歩です。

もちろん大人だけで物事を進めた方が早いし、楽かもしれません。けれど大変だからこそ、新しい意見があり、新しい学びがあり、新しい楽しさもあるんです。

大人が「子ども目線」に立つということは、子どもを対等なパートナーとしてみるということでもあります。

「子どもの幸せ」を第一に考えて、「子どもを信じる。一緒に学ぶ」——この信念や哲学を、私たち大人が持てるかどうか。それが問われているともいえるでしょう。

 

 

 

自分もあなたも大切にする哲学

——小学校の校長も務めたことのある創価学会初代会長の牧口常三郎先生は「教育は子供の幸福のためにある」と叫び抜き、太平洋戦争中に軍国主義教育を進める軍部政府と対峙して、投獄されています。子どもを信じ、どんな時も子どもと共に歩んだ教育者でした。その信念を強めたものが、「人間の無限の可能性」「自他共の幸福」を説いた日蓮仏法の信仰でした。

 

牧口会長は、困難な状況にあった多くの子どもを前にして、「この子どもらを何としても幸せにしなければならない」と思い、「そのためには自分は何をすべきか」と問い続けた方であると理解しています。「子どもの権利」や「人権」といった概念などなく、「国家のための教育」が推し進められていた時代に、「子どもの幸福のため」を叫ぶことが、どれほど大変なことだったか。

ひるがえって現在、「こどもまんなか社会」を実現しなければならない理由として、「少子化による人口減少や、労働力の減少を抑えるため」「年金制度を維持するため」など経済的な理由を挙げる声も少なくありません。もちろん、そのことを否定する必要はありませんが——しかし。やはり、それは「国の目線」「大人まんなか」の発想です。

「こどもまんなか社会」を目指す今こそ、もっともっと一人一人の「幸せ」にフォーカス(焦点)を当てる社会に変化できるチャンスだと、私は思っています。

「国の未来のため」だとか「お金のため」だとか、そうしたものばかりに焦点を当てていると、「人間の幸せ」にフォーカスする力がだんだんと弱まってしまいます。実際、私たち日本の大人は、子どもの幸せを実現する強い願いを持てなくなってしまっているのではないでしょうか。

「人間の幸せ」にフォーカスする力を支えるものこそ、人権に対する「哲学」です。「自分の権利」だけでなく、「あなたの権利」も大切にする。大切にしなければならない——と。何が正解なのか分かりづらい時代だと言われますが、「人間としてこれだけは譲れない」いう正解は、必ずあるのです。その哲学こそが、「こどもまんなか社会」を築く原動力となるに違いありません。

 

 

 

【危機の時代を生きる 希望の哲学】聖教023.10.8






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Last updated  November 6, 2024 04:56:10 AM
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