中退
私は中退の経験があります。いまだに実家の母はその事を持ちだして、「あんたはほんまにやりにくい子やったわぁ~」と言い、私は「繊細やねん」と返すんです。でも、その時の私は本当につらかった、保育園生活が。小さい時の記憶なんてそれほど多くはないと思うんですが、私の中で、あの時のことは本当にビックリするくらい鮮明で、とにかく母から突然引き離されて全然知らない環境に一人ぼっち、という恐怖感と、ものすごい偏食で少食の私にとっては拷問といえるような給食の事は、今でもハッキリと思い出せます。でも、入園してすぐによくいる、お母さんにしがみついて「帰る~!」と泣きわめくような子じゃありませんでした。誰と遊ぶわけでもなく、ただ待っているんです、終わる時間を。給食の時は全く食べられなくて、さすがに少し泣きましたけど、でも保母さんを困らせる、というようなことはありませんでした。でも、家に帰って夜になり、ベッドに入ると泣いてしまう。明日、また保育園に行かなきゃいけないのが悲しくて、つらくて。二段ベッドの上に寝ていた私は、いつもすぐ目の前にある天井のシミを見ながら泣いていました。そのシミはだんだん涙でモヤモヤになって、保育園にいるいじめっ子の男の子の顔になったり、嫌いなコッペパンになったりしてますます私を悲しくさせるんです。で、我慢できなくなって、とうとう声を出して泣いてしまう。母は最初、どの子にでもある事だと思って適当になだめていたそうですが、三日経っても一週間経っても、とうとう一ヶ月を過ぎても私の夜泣きはおさまらず、でも朝になったら反抗もせず保育園に入って行く娘を不憫に思ったのか、ある日、「明日から保育園には行かなくても良いよ」と言ってくれました。ものすごく嬉しかったのを覚えています。もちろん夜泣きもピタッと無くなりました。そんな私でしたから、もちろん小学校でも中学校でも結構しんどい思いをしました。でも、私は子供の時の記憶を出来るだけ忘れないようにしようと思っています。つらい時の気持ちを沢山沢山覚えていることで、娘がこれから出会う、色んなつらい出来事を、出来るだけ同じ気持ちで迎えてやりたい。時代が違うし、娘と私とは感じ方も違うだろうけど、でも、大人の考え方だけで物事を見ないようにしたい、と思っています。