シザーハンズ EDWARD SCISSORHANDS(1990) 夏恋の永久保存版的映画 その7
汚れを知らない 優しいエドワード。「なぜ雪は降るの?」幼くあどけない問いかけ。孫娘を寝かしつけていた老女はふと、窓の外へと優しい目を向ける。暖かなこの部屋の外で今日も絶え間なく降り積もる雪は彼が降らしているのだと老女は今も信じている。雪など一度も降らなかった街にあれ以来毎年、降り積もる雪。氷の天使の彫刻の下で天を仰いだクリスマス・イヴの夜。「それは長いお話なんだよ」答える老女の声は震えていたかも。手のひらの傷は癒えても想い出は色あせない。若すぎたあの頃傷つけたのは自分の方だった。哀しいほどに真っ直ぐな瞳は気が付けばいつも自分を捉えていたのに。何年も何年も昔小高い山の上の大きな屋敷には発明家の博士が独りで住んでいた。色々なモノを発明していた博士はついに人間も作った。何もかも人間そっくり。心臓から脳まで人間と同じ。その発明家はたいへんな年寄りでその人間を完成する前に死んでしまった。その男は取り残されてしまった。未完成のまま独りぼっち。彼の名前はエドワード。発明家が作り上げたピュアな魂。何もかも人間そっくりだった彼がただひとつ人とは違っていたところ。それは、両手が研ぎ澄まされたハサミでできていたことだった。どうして今頃「シザーハンズ」を?ティム・バートン監督とジョニデが組んだ「チャーリーとチョコレート工場」が9月に公開されるからというのもあるけれど最近テレビニュースをにぎわせている「謎のピアノマン」のことはみなさんももう知っているよね?いつまでも身元がわからない彼の境遇を思うときふと浮かんだのが、「シザーハンズ」のエドワードだったから! チャーリーとチョコレート工場 オフィシャルサイトはここ英国の海岸で保護された男性は記憶喪失とみられ、何かにひどく怯える様子で目を合わせることもしないし一言も話さない。紙を与えたところ精巧なピアノのスケッチを描いたのでピアノの前に連れて行くと驚くような巧みな腕前で数々の名曲を延々と引き続けたのだとか。「ピアノマン」と呼ばれるようになったこの男のことは各メディアでも大きく報道されているのに未だはっきりとした身元はわかっていないというなんとも謎に満ちたお話♪誰一人知り合いが名乗り出ないのは知り合いが一人もいなかったから?古城に博士といたとは思えないけどなんだか相通じるモノを感じて急にこの映画のDVDを引っ張り出してきたというワケです♪化粧品のセールスレディ、ペグが偶然、エドワードを見つけ不憫に思い、自宅へと招いたことから物語は始まります。好奇心に満ちた街の人々はすぐにエドワードに関心を持ち始めハサミを巧みに操る彼を勝手にチヤホヤしたかと思えば今度は嫉妬し、利用する者もいてウワサ一つで彼を疎外し必要以上に怖がったりし始める。それに対して切ないのは最初から最後まで彼は「エドワード」であり続けたということ。変わらなかったのは唯一、彼の純粋なハートだけだった。ジョニー・デップの目の演技に心を打たれるのよ。本当に上手い。ペグの娘、キムに抱いたほのかな恋心にも胸キュン。彼女の酷い仕打ちにも真っ直ぐなエドワードの目の表情。抱き締めたいけど抱き締められない。一度きりの抱擁は誰の心も捉えてきっと離すことのない名シーンだと思う♪「シザーハンズ」を繰り返し観る人にはお馴染み冒頭の20世紀フォックスのロゴマーク。サーチライトにしんしんと降り積もる雪は心憎い演出でうれしくなるよね!ワクワクしながらあっという間にティム・バートンの世界へと入って行ける喜び♪切ないメロディに彩られたティム・バートン独自の幻想的な映像美!久しぶりに観た「シザーハンズ」はやはり、永遠に宝物にしたい不滅のファンタジー映画でした。ちなみに「ピアノマン」のこのニュースはイギリス映画「ラヴェンダーの咲く庭で」のプロモーションの一部だとの疑いも♪それにしてもここまでするかなぁ~?もしも偶然の出来事だとしたらこの映画の関係者はきっと喜んでいるでしょうね!彼と過ごした短い季節、私は心が震えるほどの幸福を味わった。「ラヴェンダーの咲く庭で」は6月4日公開予定です♪乗せられたのかも知れないと思ってもやっぱり、観てみたくなる映画です! ラヴェンダーの咲く庭で オフィシャルサイトはここ