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テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:ドイツ・ドイツ語・ドイツ人
昨日夫の用事にくっついて、ボンに行った。
ボンまでうちから片道約500km!! 今週はちょうど秋休みで学校がお休み。それで、家族総出のドライブとなった。 家を9時過ぎに出発。練習を兼ねて、アウトバーンの入り口までは私が運転することになった。しかし、いつも利用している道は工事中で、昨日はひとつ手前のアウトバーンの入り口を使うことになった。田舎のアウトバーンの出入り口には、たいてい「パーク&ライド」のための駐車場がある。ここで待ち合わせして同じ方向に行く人が一台の車に分乗して出勤したりするのに使われている。 私はそこまで運転して夫に代わってもらう予定だったが、「高速も練習、練習」と言われ、結局アウトバーン・デビューとなった。ただでさえ、運転がおぼつかないのに、初めて走る道で、本線に合流するまで冷や汗ものだった。 本線に合流してからは、時速80kmから100kmのマイペース。夫からは、「もっと早く走れないのか!」といらいらされるし、賢浩も、「ママ、あんな大きなトラックにさえ、追越されちゃったよ。信じられない。」と調子に乗って騒いでいる。ニコちゃんまで、「Oh,Nein!」なんて大げさなリアクション。しかし、外野は無視。そのうち夫が「この調子じゃ、今日中にボンに着かない!」と痺れを切らし、強制的に交代させられた。結局20kmほどアウトバーンを走ったが、50台ほどに追越され、私が追い越したのは1台だけ。私が追い越しをしたとき、夫からは「やればできるじゃないか!」と言われ、賢浩からは、「ママ、すごいじゃない!」とほめられた。まったく馬鹿にして!! その後の道のりは長かった。まだ100kmも行ってないのに、賢浩は、「もうすぐ?」「いつつくの?」「あとどれぐらい?」とうるさい。「えー、ボンってそんなに遠いの?じゃあなんで飛行機で行かないの?」「こんなら家にいたほうがよかった。」とブーイングばかり。途中1度ガソリンスタンドにより、1度食事休憩をしただけで、あとはアウトバーンを走りっぱなし。ライン川の近くを走っているのに、アウトバーンからはライン川が見えない。A61を北上して行ったのだが、道路コンディションがすごく悪くてびっくり。アスファルトの表面がボコボコ。そのため、あちこちで舗装工事が行われ、ノロノロ運転の箇所ばかりだった。 夫は3時に用事があり、私たちは夫が用事を済ます間、植物園に行くことにしていた。子供たちが一番喜ぶアトラクションは動物園だが、ボンには動物園はない。すばらしい博物館・美術館がいくつもあるのだが、月曜日は休館日。そこで、「世界で一番大きな花が見られる」という植物園にいくことにした。 ボンについたのはいいが、さすが元首都、とても大きい町で、道路も複雑。簡単な地図しかもっていなかったので、植物園がどこにあるのかわわからず、市内をぐるぐる・・。30分ほど探したがわからず、夫は約束の時間があるので、用事が終わったら植物園で落ち合おう、という約束をして、私たちはライン川の近くで下ろしてもらい、そこから歩くことにした。 ボンは、大学町でもあり、活気がある。公園も多いし、中世風の町並みも素敵。やっぱり大学のある町はいいなー、こんな町に住みたいなーと思いながら、植物園にむかった。 植物園は、思っていたよりずーっとこじんまりしていた。一番のアトラクションの「世界で一番大きな花」は、3年に一度、それも数日間だけしか開花しない、ということを現地にいって初めて知った。しかも、その花をどこかに貸し出し中で、大きな鉢植えは空っぽになっていた・・・。賢浩はがっかりしていた。おまけに期待していた「食虫花」もなく、温室はそれほど大きくなかったし、外の庭園はバラ以外の花は枯れてしまっており、特に子供の関心を誘うようなものは何もなかった。賢浩とニコちゃんはどんぐ拾いをはじめた。これなら、わざわざボンに来なくても、自分の家の庭でできることだったなーと思った。 この植物園は、小さくて、出入り口もわかりにくい。道路に面しているのだが、道路の端に自転車専用路もついているので、路肩に駐停車することができない。夫が困ると思って、私は5時ごろから植物園の門の前に立って、夫を待つことにした。賢浩とニコちゃんは園のなかで遊ばせておいた。しかし、昨日から冬時間が始まり、日が暮れる時間が早くなった。5時過ぎにはあたりは薄暗くなってきて、植物園は5時半で閉園だった。しかたなく子供と一緒に門の外に立って夫を待つことにした。 門の鍵を閉めようとしていた植物園の職員(この植物園はボン大学の付属機関なので、もしかしたら学生かもしれない)が、「バスを待っているのですか?」と声をかけてきた。私は、「夫を待っているのです。」と答えた。その職員は、ご主人は何時に迎えに来るのですか?と聞いたので、「夫の用事は何時に終わるかわからないが、5時ごろには終わると思う。そのあとに車でここに迎えに来てくれることになっている。」「私たち自身はここまで歩いてきた。」「自分たちはボンの地理には不慣れである。」「だから夫は迷っているのかもしれない。」と説明した。彼は、「ご主人の携帯に電話をしては?」といったので、「そうですね。でも、公衆電話はどこにあるのでしょうか?」と私は聞いた。彼は当然私も携帯を持っていると思っていたようで、驚いていた。あいにく公衆電話は近くになかった。 彼は、しばらく私たちと一緒に門の外に立って、夫を待つのに付き合ってくれた。そのうち、「植物園の事務所の電話を使ってもいいですよ。ご主人に電話をかけたらどうですか?」と言ってくれた。しかし、実は私は夫の携帯番号を暗記していない。私は家にいることが多いので、夫に電話するときは、たいてい家からで、電話番号を見ながらかけているので、暗記する必要がなかった。それにいつも財布にいれて持ち歩いているはずの夫の名刺も、先日お財布を新調したさいに入れ替えるのをわすれて、もっていなかった。 「夫の携帯の番号がわからないのです・・・」といったら、彼はあきれていた。そして、賢浩に、「君なら、パパの番号覚えているよね。」と聞いたが、もちろん賢浩の返事は、「Nein!」。 彼は、「自宅の電話番号は暗記してますか?」と聞いた。「もちろんです。」と私が返事すると、「それじゃあ、事務所から自宅に電話してみてはどうですか?」と提案してくれた。「でも、自宅には誰もいません。」というと、「他に、ご主人の携帯番号をしっているような人の電話番号はわかりますか?」と聞かれた。「いいえ・・・・」 結局私たちは待つしかなかった。彼は、賢浩に、「君のお父さんの車はどんな車?どんな色?プレートナンバーは?」と聞いて、一緒に車探しを手伝ってくれた。しかし、さすがに6時過ぎてあたりが暗くて寒くなってきたので、申し訳なくなり、「私たちは7時まで待ってみます。それでも来なければ、事故かもしれないので、警察に行ってみます。どうもご心配おかけしまして申し訳ありません。これ以上つきあっていただかなくても大丈夫ですよ。ありがとうございました。」と伝えた。でも、彼は、小さい子供2人連れて寒空に突っ立っている私がよほど不憫に思えたのだろう。そのまま7時まで一緒に待ってくれた。賢浩は、「パパが来ないなら今日はバスで家に帰ろうよー。」とか言い出し、あまり私たちのおかれた事情を把握していないようだった。結局は、植物園の彼に警察の場所を聞いて、お礼を言って別れた。見ず知らずの人間のために1時間以上も寒空の中つきあってくれるなんて、なんてやさしい若者なのだろうか。どれだけ心強かったか・・・・。 中央駅前の警察に着いた。警官Aに「何の用ですか?」と聞かれ、「助けていただけますか?」といったとたん、涙があふれてきてしまった。 警官Aは、「まあまあ、とりあえず、中に入って・・」と促してくれた。 「何かとられましたか?」「暴力されたのですか?」と質問された。 事情を話したら、「ご主人は携帯を持っていますか?それなら、電話したらどうですか?」と言われた。「実は、携帯番号がわからないのです。」といったら、今度は賢浩に、「君ならパパの番号覚えているよね。」と聞いた。賢浩の答えは、「Nein」。「自宅にかけたら?」とか、警察でも、植物園の彼とまったく同じことを言われた。 とりあえず、警官Aは警察署や消防署に電話をして事故の連絡が入っていないか調べてくれた。夫は事故には巻き込まれていないことだけはわかった。 そこに2人の同僚が帰ってきた。警官Aは、「このご婦人がご主人を探している。」と事情をかいつまんで話した。同僚は、「ご主人の携帯に連絡すればいいじゃないか。」 警官A:「ご主人の携帯番号を知らないのだ。」 同僚 :「Schlecht!(そりゃ、困った)」 警官A:「ご主人の行き先も知らないのだ。」 同僚 :「Schlecht!(うーん、ひどいな)」 警官A:「それに、このご婦人は携帯をもっていない。」 同僚 :「Schlecht!(最悪!)」 一同は頭を抱えてしまった。そこで、私は、「主人が事故でないことはわかったので、今後のことは考えます。」とお礼を言ったら、「今後どうするつもりか?」と聞かれた。そこで、「東京の実家に電話をして夫の携帯番号を知っているかどうか聞いてみます。国際電話がかけられる公衆電話はどこありますか?」と言った。警官Aは、「とりえず、街中を見てくるから、待ってなさい。」といって、出かけていった。 すでに7時半だった。どうしていいのかわからず、泣けてきた。 警官Aがでかけて10分もたたないうちに、「夫を見つけた」という電話があった。警官Aは夫を警察まで誘導してきてくれた。その場には、3人の警察官がいたが、みんな親切だった。帰る際に、「ボンの忘れがたい思い出とともに、よいご旅行を!」と声をかけてくれた。 夫の話によると、用事は予定よりのび、6時に終わったそうだ。その後、植物園に向かったのだが、出入り口を見つけることができず、1時間以上市内をぐるぐる回っていたそうだ。私から電話がないので不思議に思っていたらしい。 市内をぐるぐる回り、信号でストップして、右折しようとしたとたん、警察車両に呼び止められたので、「何もしてないのに・・」と思ったそうだ。 わき道に車を止めるよう強制され、警察官が車に寄ってきたそうだ。夫は、「植物園に行こうとしていただけですが・・」と言ったら、警官Aが、「ナビはついていないの?」と聞いたそうだ。「ない」と言ったら、「Schlecht(よくないな)」と言われたそうだ。まったく、今日一日で、私たち夫婦は何度「Schlecht(悪い、好ましくない)」と言われたことか・・・・。 警官Aは、「奥さんと子供があなたのことを探して警察に来てますよ。」といったので、「それはありがとうございます。」とほっとしたらしい。 そもそも私が夫の携帯の番号を覚えていれば、植物園の人にも警察の人にも迷惑かけずにすんだ話。もう本当に恥ずかしい。賢浩は、「パパが、悪い。ママは泣いていたんだぞ!」と言ってくれた。子供の前で泣くなんて、最低だったなー。植物園にはがっかりしていた賢浩だが、「僕、初めて警察の中に入ったよ。」と喜んでいた。 ボンって、町並みや雰囲気も素敵だけど、人々がすごく暖かくて、本当に素敵なところだと思った。 帰りも夫が運転。 ボンで夕飯を食べ、その後給油のため1度止まっただけだったが、家に着いたのは、午前1時半。私たちはクタクタだったが、車の中で爆睡していたニコちゃんは元気満々で目を覚ましてしまった・・・。本当に長い長い1日だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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