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テーマ:海外生活(7774)
カテゴリ:老人介護士への道
毎日新しい発見があり、大変な仕事だとは思うけど、日々、「頑張りたい」と思う気持ちが強くなる。しかし、それと同時に、「私に務まるのか??」という疑問も抱く。
私は遅番で、1時15分に来るように、院長に支持されたのだが、その時間に行ってもはっきり言って、することが何もない。早番の人は1時半までで、一人だけ引継ぎのため2時まで残る。遅番の人は、1時半に一人、2時に一人、2時半に一人出勤してくる。 1時半から2時までは、早番と遅番の引継ぎ。XXさんは下痢をしているとか、〇〇さんの投薬が変わった、とか、△△さんは家族が来ていて、3時まで外出している、とかそんな内容。 その間も、ナースコールは鳴る。 私が様子を見に行くと、ベットに寝ている人が、「トイレに行きたい!」と言った。そのことを遅番の介護士に伝えると、 「今、引継ぎ中だから、待つように言って。」と言われた。 「えー、トイレに行きたいのを待たせるの??」と思ったけど、一人でトイレに行けない人は、オムツをしているので、万が一漏れても仕方ないという考えなのだろう。 それでも、何度もブザーを鳴らす。 見かねて、私が連れて行こうとしたのだけど、体の不自由な人をベッドから車椅子に乗せるのって、すごく大変。 それでも、「あなたにまかせるわ。」と私の危なげな介助を受け入れて下さる方もいれば、「あなたじゃ不安だから、介護士が来るのを待つわ。」という方もいる。 遅番のルーティンは、2時過ぎから、各部屋を回る。3時からコーヒータイムなので、トイレに行かせたりオムツを替えた後、テーブルに付かせる。 3時からのコーヒータイムは、コーヒーを注いだり、補助の必要な人に食べさせたりする。 4時から4時半過ぎまで休憩。その日の老人たちのコーヒータイムと同じものが私たちにも出される。 5時半から6時ぐらいが夕飯。テーブルにいる何人かは、夕飯を食べない、もしくは、部屋で食べるので、その前に部屋に戻す。6時から食事介助。寝たきりの方はベッドに寝たままで食事。 その後、一人づつ部屋に戻し、寝巻きに着替えさせ、就寝させる。8時過ぎに仕事が終わり、その後、日誌を記入。 こう書き出すと、簡単なようなのだが、一人一人メニューも違い、必要とされる介護も違うので、慣れない私には戸惑うことばかり。 例えば、夕飯のパンを配る時、適当に1枚づつ配ったら、 「XXさんは、Vollkornブレッド、△△さんには、耳をとったパン」と言われた。 また、お茶も、〇〇さんには、角砂糖2個、□□さんには、角砂糖1個、と決まっている。 XXさんは、ストローが必要、□□さんは、自分で飲めるが、コップを手にもたせてあげる必要がある・・・などなど、頭が混乱してくる。 火曜日に、ギムナジウムの生徒が数人老人ホームを訪問した。定期的に、子供たちがお年寄りを訪問しに来るそうだ。 「老人ホームにいるお年よりは寂しいだろうから、一緒に話したり遊んであげましょう。」ということなのだが、私の担当する階のお年よりはほとんどが痴呆症。会話にならないし、ゲームができる人もあまりいないと思う。 2人の女生徒が、テーブルについていたXXさんの隣に座って、「ゲームをしましょう。」といって、ボードと駒を箱の中から取り出した。すると、XXさんは、駒をとって、食べようとした。女生徒たちは驚いていた。(私もしらなかったので、びっくりした) XXさんは、目の前にあるものは何でも食べてしまうそうで、角砂糖もテーブルの上に置いたままにしないように、と介護士に注意された。よくみていると、夕飯時でも、自分のお皿が空になると、他の人のお皿からとって食べていた。 いつも、「Schwester(看護士のこと)、私をベッドに連れて行って!」と叫んでいるお年寄りがいる。私は彼女を部屋に連れて帰ったら、「彼女は、いつもそういうの。部屋につれてかえっちゃダメよ。またテーブルに連れてきて。」と介護士に言われた。 それでも、彼女はいつも、「ベットに連れて行ってー。お願い!!」と叫んでいる。「もう少ししたら、コーヒータイムですからそれまで待ってください。」と私は伝えた。そうすると、彼女は、「どうもありがとう。」といってくれる。彼女は、ちょっと何かを話しかけたりしてあげると、ものすごく感謝の言葉を口にしてくれる。 コーヒータイムが終わり、また、彼女は、「ベッドに連れて行って!」と叫ぶ。そのたびに、「もう少し待ってくださいね。」と私はなだめる。 「ベッドに連れて行って!」と何度も懇願され、今度は、「もう少ししたら、夕飯ですから、それまで待ってくださいね。」と言ったら、彼女の隣に座っていたシニカルなお年寄りが、(私がさっきは、コーヒータイムが終わるまで待ってといったのに、今は、夕飯が終わるまで待てと言ってしまったことに対し)「彼女(私)は、外国人だから、何もわからないのよ。適当に言っているの。」と鼻で笑った。適当なことを言ってしまった自分を恥じた。 夕飯時には、薬も一緒に渡す。しかし、中には苦い薬もあるようで、頑なに拒否して飲まないお年よりもいる。それを無理やり飲ませなくてはいけないのだが、無理やり他人様の口をこじ開けるなんてできない。食事も、食べたくないのなら食べさせなくてもいいのか、無理やり食べさせなくてはいけないのか、わからない。先輩介護士は、「ほら、口あけて! 飲み込んで!」と容赦ない。彼女たちが、冷血なわけではない。介護士たちはみんなものすごく愛情をもって、老人達に接している。その献身ぶりに頭が下がる。しかし、かわいそうだから・・だけでは介護はできないのである。 一日に数回、お年寄り達の髪の毛を梳いてあげるのだが、その時、どの人もものすごく気持ちよさそうな顔をするのが印象的だ。 就寝前は、入れ歯の人は入れ歯をはずして洗ってあげる。入れ歯は自分ではずして手渡してもらうが、できない人は、こちらが口に手を突っ込んではずしてあげる。入れ歯の実物を見たのも触ったのも今回が始めて。口に手をいれてはずすなんて怖かったけど、慣れればなんてことはない。 下の世話も、思ったより平気だった。確かに臭いはきつい。体に染み付いている感じがして、家に帰ったら、真っ先にシャワーを浴びたい、と思うが、でも「いやだなー」とは感じなかった。仕事の一部と思えば、なんともない。 あと、2日間。いろいろ経験したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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