ドイツでマルチリンガルを育てる

今日は、Christi Himmelfahrt　という祝日。この日がドイツでは、父の日、ということになっているらしい。しかし、この祝日は、イースターと同じで、毎年日にちが変わるので、母の日が毎年５月の第２日曜日となっているのと違って、５月だったり６月だったりする。今年は、比較的母の日と近かったので、幼稚園の工作も、母の日と父の日兼用になっていた。だから、私はニコちゃんから当日プレゼントをもらったけど、父の日の当日には特に何もなし。
母の日には、恵子はクッキーを焼いてくれた。賢浩は、学校で母の日用に工作したものをくれた。夫は、終日料理と後片付けを引き受けてくれた。

父の日は、我が家では大きなイベントではないのだけど、賢浩はそれではかわいそうだと言って、私に自分のお小遣いを渡して、チョコレートを買ってきてね、と昨日頼んできた。（自分は友達と遊ぶのに忙しくて、買う暇がないらしい）
そして、今朝、「ママ、パパに渡すから、チョコレートどこ？」と聞いたので、隠しておいたのを取り出そうとして、愕然。昨日の夜までは確かにあったのに、今朝はない。夫に、「もしや、夜中にチョコレートを食べなかったか？」と聞いたら、「YES」の返事。昨夜も夜遅くまで仕事をしていて、おなかがすいたので、何かないかといろいろな場所を探したらしい。自分の大好きなチョコレートを見つけて、思わず食べてしまったと白状した。確かにラッピングはしていなかったが、わざわざわからないようなところに隠しておいたのに、それを見つけて食べるなんて・・・・。
もちろん、賢浩は泣いて、拗ねてしまった。
夫は、ごめんね、と謝ったけど、許してもらえず、結局、家族の白い目に耐えられず、「お詫びに、僕が朝食を作ります。」といって、パンケーキを作り始めた。

今日は、夕方から、恵子はオーケストラのコンサートがあった。わが町とフランスのS市の姉妹都市提携４０周年の記念行事の一環。コンサートは、地元の小さなホテルの宴会場であった。前回、そこで開催された時は、私が聴きに行った。家族全員で聴きに行くのは、ニコちゃんがいるので無理。今回は、父の日でもあるし、夫にゆっくりコンサートを楽しんできたら、と勧めた。
夫は、フランス語をブラッシュアップしなくちゃ、と張り切っていた。

夫は、ビデオカメラを持って出かけたのだが、すぐに戻ってきた。

「今回のコンサートは、一般公開って誰に聞いた？」と言われた。
私は、意味がわからず、「満席で入れなかったの？」と聞き返したら、「招待客だけだよ。みんなフォーマルウェアだったよ。テーブルには、ネームプレートがおいてあったよ。」「・・・・」

「ホテルの前で、恵子の学校の校長先生に会ったよ。彼は、フランス人のゲストと一緒で、”あなたも行くんですか？”ときかれたから、”もちろんです、娘が演奏しますから・・”って僕、返事しちゃったよ。」

「入り口で、恵の姿が見えたから、声をかけたら、”なんでパパがここにいるの？コンサートは、招待客だけだよ。”と言われたよ。」

それで、そそくさと帰ってきたらしい。

「まったく恥ずかしい思いをしたよ。父の日だというのに、今日は散々だ。」

家に帰ってきた恵子に、「パパは校長先生に会って、フランス人のゲストまで紹介されたんだって。それで、フランス語でちょっとお話したらしいよ。」と教えてあげたら、「恥ずかしすぎる！もう、やだ！」といいながら自分の部屋に戻ってしまった。実は、今回のコンサートが招待客だけということは、恵子も知らなかったらしい。でも、パパの行動が、思春期の乙女には、とてつもなく恥ずかしく思えたのだろう。

昨日、香港の義父母から、DVDが送られてきた。「TAKEN」と言うタイトルの映画。（日本語タイトルは「９６時間」？）
「この映画を、是非家族で見てもらいたいと思ったので、送った。私たちは、この映画を見終わった後、ロンドンで賢浩がすぐに見つかって本当に良かった、と神に感謝した。」という手紙が同封されていた。
誘拐された娘を助けるため、父親が悪に一人で立ち向かうアクション映画。結構暴力シーンが多く、家族で見る映画とは思わないのだけど、家族で見て話し合って欲しい、というのが、義父母の希望だったので、昨夜みんなで見た。
夫は、「僕は、君たちが誘拐されてもこの父親のように助けに行けるわけではない。だから、自分の身は自分で守ってね。」と言っていた。
映画としては、面白いけど、ちょっと現実離れしている。しかし、実際にこういう誘拐犯罪はあり得るだろうから、特に恵子には気をつけなさいという警鐘にはなったかもしれない。
わざわざこんなDVDを送ってきてくれるなんて、よほど、賢浩のロンドンでの迷子事件がショックだったのだろう。私たちは、笑い話にしているけど、もっと深刻に考えることなのかもしれない。