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テーマ:高校生ママの日記(9397)
カテゴリ:中国
木曜日に恵子は北京に旅立った。
その前の日の夕方にご近所さんがうちに、「境にはえている木の枝がかなりうちのほうに傾いていて、ちょっと問題がありますので、切ってください」と言いに来た。「申し訳ありませんでした。すぐに対処します。」と答えた。しかし、もう6時近かったので、その日は何もしなかった。でも、気になって気になって、眠れなかった。朝起きて、恵子の荷造りの最終チェックや大学の志願書のチェックをしたが、恵子の出発まで2時間ほどあったので、やっぱり木を切ることした。前の日にいわれたのに、1夜明けても何にも行動に移していなかったら、隣の人に不信感をもたれてしまうのではないかと不安だったからだ。 かなりの高さがあり、はしごが途中までしか届かない。その先は登るしかない。ここから落ちたら、しゃれにならないなーと思った。中年のおばさんが木登りしていて木から落ちたなんてニュースの見出しになったら恥ずかしすぎる。 家の中から、恵子が弾くピアノの音色が聞こえた。なんだか、ちょっとむかついた。まあ、恵子もすぐに気づいて、「ママ、私がかわろうか?」といってくれたが、さすがにこれから飛行機に乗って中国に行く人に何かあっては困るので、申し出を断り、私がそのまま作業を続けた。賢浩が帰ってきてから、午後に一緒にやっても良かったのだが、とにかく、「私たちはあなた方の忠告を無視していませんよ。」と隣の人を安心させるため、一刻も早く行動に移さなくては・・という強迫観念に駆られていた。高いところに登ったまま、のこぎりや大きなはさみで枝や幹を切る作業は、本当に疲れて、2時間の作業で私は全エネルギーを使い果たしてしまった。 空港には電車で一人で行ってもらうことにしていたので、恵子を地元の駅まで送りにいった。 今まで何度も恵子は一人で海外に行っているが、いつも空港までは送っていた。今回は一人で空港に行き、チェックインも全部一人でする。現地についても知り合いがいるわけでもなく、言葉が通じない国での生活になる。今までの海外滞在とは全く違う。 昨日、恵子とスカイプで少し話しをすることができた。 ルフトハンザを利用したのだが、乗客のほとんどは中国人だったそうだ。機内で、「ただいま、ワールドカップの試合で、ドイツがアメリカに勝ったというニュースが入りました。」と放送があったそうだが、「わー」と歓声をあげる人は誰もいなかったらしい。機内は静まり返ったままだったそうだ。 現地では、地元の大学でドイツ語を専攻している学生が迎えに来てくれたそうだ。彼女とはドイツ語で会話したらしい。彼女は半年間ドイツにも留学していて、ドイツ文学が大好きらしい。恵子に「ゲーテのファウストを読んだことある?」と聞いたそうだ。「ある」と答えたら、「私、いま、そのプレゼンテーションの準備をしているの」と言ったらしい。しかし、彼女は同じ大学とはいえ、付属の語学学校のことは何も知らないので、必要な情報を彼女から得ることはできなかったらしい。 とにかく、恵子はその見た目から、中国人に間違われて、みんなに中国語で話しかけられるので困っているといっていた。飛行機の中でさえ、スチュワーデスさんにずっと中国語で話しかけられていたそうだ。まあ、飲み物は何にしますか?とか、食事は肉がいいか魚がいいか、という程度なので、問題なかったようだが、キャンパス内では、みんな早口で全く理解できず、「私は中国人ではありません」と中国語で否定するだけで精一杯と言っていた。 部屋は、二人部屋だが、シャワーとトイレが付いている部屋だといわれていた。ところが、シャワーやトイレは廊下にあるものを共有しろと言われたそうだ。そのシャワーやトイレがかなり汚く、結構落ち込んでいた。事務局に問い合わせたら、「中国政府奨学金プログラムでは、スタンダードルームがあてがわれることになっている、グレードアップしたければ、自分で交渉して、差額を支払わなければいけない、支払った差額は、あとで事務局が払い戻す」と言われたそうだ。そういう交渉は何語で行うのか知らないが、そういうことまで自分でしないといけないのは結構大変だなーと思った。W-LANも部屋についているといわれていたが、ついていなかった。幸いルームメートがもっていて、つかってもいいよ、といってくれたので、部屋の中ではインターネットが使える状態らしい。でも、Skypeの質は良くなかった。 奨学金には、学費以外に、寮費、食費、医療費も含まれているが、食堂で食べられるのは、コース中だけ、つまり、月曜日からで、この週末は、自分で食べ物を調達しないといけないらしい。 ルームメートは、カザフスタンの人で、すでに1年ここにいるそうだ。だから中国語がすごく流暢。でも、しばらく旅行(?)にでるようで、不在になるそうだ。恵子がいまのところ知っているのは、このルームメートと空港に迎えに来てくれた人だけ。中国語もあまり話せないで、ちょっとかわいそうな状況。 よく、語学学校に留学しても、日本人同士で固まって、日本語ばかり話していた・・とかそんな話を聞くけど、恵子の場合、言葉が通じる人があまりいないみたいで、本当に心細い状況に置かれているようだ。語学を習得するには、これぐらいの荒い環境が必要なのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年06月30日 23時50分00秒
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