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カテゴリ:職業再訓練
今週はとてもあわただしかった。
恵子の受験まであと数日。数学、物理の筆記試験の翌日に、化学と生物の口答試験があるので、その2科目も勉強しなくてはならず、全然時間が足りない状況。中国になんか行かなければよかったのではないかと思えてくる。そんな状況なのに、友人のお兄さんの結婚式で演奏するための練習に呼び出される。特にお兄さんとは面識もないのに・・・・オルガンとバイオリン3人での演奏で、やはりみんながそろうときが少ないので、仕方ない。友人は恵子の状況を知っているはずなのだが、「恵なら合格するよ、問題ない」と思われているらしい。誰に言っても、「でも、恵なら大丈夫でしょ」と大変さを理解してもらえない、と愚痴っていた。生物、物理、化学のどれかの教科でAbiturを受けていたら、この試験を受ける必要はなかった。実際、恵子のクラスメートで、もうすでにこの学校から入学許可をもらっている子もいる。Abiturだったら、どれか1科目でよかったのに、入試を受ける場合は筆記は物理と指定され、口答試験は3科目ともになる。 一昨日、夫が恵子に物理を教えていて、「こんな簡単な問題もわからないのか」とちょろっと一言言ったら、恵子は爆発してしまい、「もういやだ」といって、泣き始めた。私はなだめようとしたが、部屋に鍵をかけてしまい、中に入れてもらえなかった。すごいプレッシャーなんだと思う。もう勉強をやめてもいいよ、といってあげたくなった。 そのことを夫が義父母にメールで連絡したら、義母から早速恵子に電話があり、「週末は勉強なんかしないで、好きなことをしなさい。受験だけが人生のすべてではないのよ。恵ちゃんならどんな状況でもうまく切り開いて進んでいけると信じているよ。愛しているよ。」と伝えていた。恵子は、苦笑いをしながら聞いていた。 すでに合格者が出ており、たぶん、入試を受けるこの方が少ないと思う。そもそも理系に進もうとしている子なら、Abiturで理系科目をとらないということは滅多にないと思う。理系に進むつもりなのに、ラテン語で受験ってものすごく稀なケースだと思う。そのうえ、中国語とか、関係ないことばかりに時間を費やしていた。 「語学ばかり勉強していて、バカな選択だったと思わない?」と聞いたら、「なんで?全然思わないよ。語学も勉強してよかったと思うよ。」と言われた。不思議な子だ。 で、恵子は精神的にも時間的にもいっぱいいっぱいの日を過ごしているのだが、私自身も急に身辺が忙しくなってきた。今週になり、急遽職業再訓練を受けることが決まった。水曜日に労働局から提案され、木曜日に試験を受け、金曜日に決定し、来週の月曜日から通うことになった。すでに、コース自体が7月から始まっているので、一日も早く参加しないと授業に追いつけなくなる、と言われた。 何の職業訓練を受けるかと言うと、日本では何に該当するのかわからないが、税務処理の仕事。税理士ではなく、税理士事務所で働く事務員の養成ということになるだろうか? 職業訓練をしたいという希望は出していた。日本語や英語を使うチャンスがある商業的な訓練を希望していたのが、私の住む地域では、日本語の需要はない、と言われた。また、商業関連は需要と供給のバランスでは供給が上回っているので、いまさら職業訓練を受けても就職のチャンスはない、と却下された。それで、需要が見込める税務の知識を身につけてはどうですか?と打診された。すでにコースは始まっているので、すぐに返事が欲しいといわれ、翌日に試験を受けるように指示された。 とりあえず、一夜漬けで試験勉強。 Leitzinssatz(公定歩合), Konjunkturabschwung(景気後退), Aktie(株), Namensaktien, Inhaberaktien, Aufwertung(平価切下げ), Koerperschaftssteuer(法人税)などの単語が並び、辞書を引きっぱなし。 試験は、2時間だった なぜ職業再訓練を受けようと思ったのか?なぜこの職種を選んだのか?というエッセイをA41枚につづるのが一問目 そのほかの問題は選択問題だった。専門分野の問題、ドイツ語力を試す問題、百分率の文章問題、知能テストのような問題。前日の一夜漬けで練習した問題もあり、数学もかなり簡単だった。電卓を使ってもいいと渡されたが、必要なかった。 その後、担当者と面接したのだが、「あなたの履歴を見ました。大卒となっていますが、ドイツでも大卒と認められているのかしら?」と言われた。日本でこの履歴書を見せたら、一応は、「ほー、早稲田出身ですか」というリアクションがあると思うのだけど、こちらでは、「大卒扱いになるのかしら?」というリアクション。正直、悲しかった。おまけに、「英語が出来るようですが、ここでは全く必要ないです。」とも言われた。ドイツ語だけで勝負しなくてはいけないのはつらいなー 翌日、労働局へ出向いた。「昨日のテスト結果は、1.7で、平均を大幅に上回っています。おめでとうごさいます。」と言われた。正直、もっと出来たと思っていたので、ちょっとがっかりした。 そして、担当者は私の履歴書を見て、「これでは、職業経験があるとは認めてもらえないですね。身内の会社で働くのは、カウントされない場合が多いです。あなたの場合、やはり職業訓練を受けるのが今後を考えると一番いいことです。」と言った。日本では厳しい就職戦線を勝ち抜いてそれなりに働いていたのに、私は、ドイツでは、学歴も職歴もない人とみなされるのが悲しかった。 月曜日から、私の職業再訓練コースが始まる。 フルタイムとパートタイムのコースがあり、私はパートタイムコース。8時から12時までなのだが、学校が遠いので、家を7時過ぎには出ないといけない。やっぱり心配はニコちゃん。賢浩もそうなのだが、朝私が起こして、「早く食べなさい」「早く着替えなさい」「顔を洗いなさい」といちいち言わないと行動できない。学校の近くに住んでいるのに、遅刻ぎりぎりに出かけていく。これからは私のほうが彼らよりも早く出かけないといけないので、朝は戦争状態になると思う。帰りも、小学校は11時45分に終わる。でも、私は授業後すぐに帰ってきても1時ごろになる。ニコちゃんを学童に預けるつもりだが、学校が始まらないと手続きが出来ない。 もう一つの問題は、ピアノのレッスン。木曜日だけはパートタイムの人もフルタイムの人と一緒に授業を午後も受けることになるといわれた。でも、9月からレッスンを再開してくれるというピアノの先生は木曜日にしかレッスンをしていない。教室がうちから離れていて、一人で通わせるのが不安。歩いて20分ぐらいの距離なのだが、途中、鴨のいる池がある公園を突き抜けるので、絶対にそこで遊んでしまい、時間通りにいけないのではないかと思う。 とにかく予期していなかったことがあっという間に決まっていき、あとから不安だけが押し寄せてくる。この職業訓練は3年間も続く。私には最後のチャンスだと思うから、頑張りたいけど、家庭との両立が出来るのか自信が持てない。一番しわ寄せを食らうのは、ニコちゃんではないかと心配だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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