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カテゴリ:職業再訓練
昨日恵子が戻ってきた。しかしうちには帰らず、そのままスイスの下宿先に直行。
8月は試験期間で、それに受からなければ次の学年に進級できない。恵子の大学では8月の試験に受からなかった1年生は、また1年間同じ授業を受けることになる。落とした単位だけを翌年受け直せばいいという話ではない。1年間まるまるやり直し。試験もかなり難しくて、2年生への進級率は50%。だから、中国でも生物や化学の勉強をしないと間に合わない状態だったのだ。 昨日、朝起きてからスマホをチェックしたら、恵子からのメッセージが書き込んであった。 「ママ、どうしよう、オンラインチェックインしたのだけど、フランクフルトまでしかできなかった。空港でスイスまでの手続きをしようとしたら、フランクフルトで一回荷物を受け取って、もう一度チェックインしなおしてくださいって言われたけど、時間的に間に合うかどうかわからない。」というSOSだった。私が読んだ時点で、既に恵子はロシア上空あたりを飛んでいる頃で、何もアドバイスすることはできなかった。結局は、問題なくフランクフルトで手続きができたが、オンラインチェックインができなかった時は、かなりあせったらしい。ルフトハンザを利用したので、スイスから中国に行くときもドイツ経由だったが、前日にオンラインで問題なく最終目的地までチェックインでき、荷物も途中で受け取ったり、預け直す必要はなかった。それなのに、どうして、帰りはできなかったのだろうか? 中国から来る場合は、偽物ブランドとかの持ち込みを懸念し、欧州内の最初の空港で荷物検査がされるのか?とも思ったが、よく考えて見れば、去年も乗り換えはあった(乗り換え空港も最終目的空港もドイツ国内)が、最終目的地まで北京で問題なくチェックインできた。今回は最終目的地がEU外だったからなのか、たまたまオンラインの不具合でできなかったのかわからない。 昨日の夜はものすごい雷だった。3分に1回は空が光っていた。空がチカチカしていて、不謹慎ながら「空爆ってこんな感じに見えるのかな?」と思った。私の通っている学校では、移民のためのドイツ語講座なども開かれていて、シリア出身の人たちをよく見かける。そういう人たちにとっては、昨日の空模様は、怖い体験を思い出させるものではなかったのだろうかと思ってしまった。 昨日は授業では、Rechts- und Geschäftsfähigkeit(権利能力・行為能力)ということを習った。 ドイツでは、7歳未満の子供には、行為能力はないと規定されている。 極端な話、6歳の子供が店でアイスを買って1ユーロを払っても、親が承認しなければこの売買は成立せず、親はアイスを戻して1ユーロの返却を要求できる。 ドイツでは18歳から成人とみなされる。7歳から17歳の子供は、限定的な行為能力しかもたず、大抵の場合、親の承認が必要とされる。例えば17歳の子が大学で勉強するため学生寮にはいるときの賃貸契約には必ず親のサインが必要になるし、17歳の子供の銀行口座から家賃を自動引落にすることはできない。 17歳と18歳の差はかなり大きく、18歳未満で大学生になるのはかなり不都合が生じると感じる。 恵子は9月で18歳になるのだが、昨日、役所から子ども手当に関する手紙が来た。 ドイツでは18歳未満の子供には子ども手当が支給される。18歳以上の子供の場合、条件に当てはまる場合にのみ最高25歳まで支給される。役所からの手紙には、「お子さんが18歳になるので児童手当の支給が打ち切りになりますが、勉強中、職業訓練中、就職活動中、ボランティア活動中等の場合はこの限りではありません。その場合は、証明書類を添付して申請してください。」という内容が書かれてあった。恵子の場合、大学のスタンプをもらわないといけないのだが、1年も大学に通っていながら「事務局がどこにあるかわからない。」と言う。大学にはクリニックもあるらしいのだが、それもどこにあるのか、どうやって利用するのかわからない、という。教務課とか事務局というのが大学にないのだろうか??? 昨日、勉強した中で、「へー」と思ったのは、Rechtsfähigkeit(権利能力)で、人間のみに与えられるもので、動物にはない、という話。ペットが死んだ場合、自分の家の庭に埋めていいのか?という話になり、先生は、「Nein(いいえ)」と言った。すると、生徒の一人が、「できますよ。ちゃんと役所に問い合わせて聞いたんです。深さ2メートル以上の穴であれば埋めていいと言われましたよ。」といった。自分の所有地以外に埋めるのはNG。自分の所有地であっても、許可が必要だ、と先生は言った。浅すぎず、かつ深すぎない(地下水にあたってはいけない)ように埋めないといけないそうだ。まあ、常識的に考えて、そうだよね。 人間の話しにもなり、身元不明の行き倒れの人を埋葬する義務は自治体にはない、と先生が言った。葬式を出すお金がなく、火葬にできない場合、深い穴をほって、そこに埋められる、と先生が言ったような気がしたが、なんかいろいろな話が交錯してしまい、正確には思い出せない。しかし、結構衝撃的な話が多かった。 ドイツでは年間30日有給休暇(病欠は含まれない)を認めている会社が多いが、法的には最低24日と定められている。一人の生徒が「私の会社は20日しかくれない。それは法律違反ではないのか?」と聞いた。先生は「たとえパートタイムであっても年間24日(1週間に5日働いた場合)は認められている。会社は法律違反ではあるが、法廷で争ったところで、会社側は他の理由をみつけて文句をいう人を解雇するだろうから、誰も争わない。」と言った。すると、元弁護士事務所で働いていた生徒が「会社側の査定に不服を唱え訴訟をおこす人をみてきたが、必ずといっていいほど会社側が勝訴する。」と言った。 以前、職場のゴミ箱に捨てられていた食べ物を誰にも言わず持ち帰った人が、窃盗で訴えられ、解雇になったことがあったそうだ。法廷で争ったが、判決は「窃盗とみなす」だったそうだ。会社で個人的用件で会社の電話やインターネットを使うのも解雇の理由になるが、契約書に私用電話やネットの利用を禁ずると書いてある場合に限るそうだ。このコースに参加してから、法律を知っているのと知らないのではずいぶん違うなーと強く感じるようになった。できれば、子どもたちのうちの誰か一人には法律関係を勉強してほしいなーと思うけど、誰もしないだろうなー。残念・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年07月25日 16時37分48秒
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