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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2015年12月10日
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カテゴリ:職業再訓練
火曜日の労働裁判所の見学は、本当に興味深かった。
裁判を傍聴したのはこれが生まれて初めてだった。
正確には私達が傍聴したのは「裁判」ではなく「簡易調停」。
調停員は黒いガウンをまとっていたが、それ以外はあまり形式張っていなかった。

残念ながら私のドイツ語力不足で全部は理解できなかったが、理解できた範囲で書き留めておきたい。

最初の案件は、解雇された従業員Aが雇用先を訴えたケースだった。
Aは指を怪我して働くことができず、会社に医者の診断書とともに病欠届けを提出した。会社側は6週間は病欠期間中でも通常の給料を払わなければならない。病欠期間が6週間を超えると、健康保険会社が肩代わりをして、給料の7~8割を支払う。
Aが病欠届けを出しているにもかかわらず会社から出勤するよう強制され、Aはそのために数回会社に出勤した。そのため怪我を悪化させてしまい、それがもとでAは精神も病み、今度は精神的な問題で働ける状態にないという医者の診断書を会社側に提出した。
同じ病気の場合は、合計で6週間分しか会社には給料を払う義務はないが、原因が違う場合は、その都度最長6週間分の給料を払う必要がある。会社側は、「6週間経つと、その時期にあわせて、違う病気や怪我を理由にまた休む」ということに不満があり、解雇したようだ。Aは「指の怪我が6週間で治らなかったのは、会社が強制的に働かせたからだし、本当に偶然的にあちこちに疾患がみつかり、休むことになったのに、それを疑うのはおかしい」と主張した。
最終的にもう一度証明できるものを集めて日を改めて話し合うことになったようだ。
細かい点があまりよく理解できなかったが、いろいろな手当が厚いドイツではよくある話なんだろうな、と思った。

同じような理由で解雇された50歳の女性が会社を訴えている案件もあった。彼女は19年間も働いていたのに、病気を理由にやめさせられたのは不当解雇であると会社を訴えたのだ。会社側の言い分は、過去2年間で彼女は計200日以下しか働いていないのに、長年働いてくれていたので、フルタイムとしての給料を月々払ってきた。しかし、病欠の多さが目に余るので、やめていただいた、というものだった。
調停員は、「この場合ですと、彼女の月給から計算し、会社側は彼女に25000ユーロ払うのが適当ですね。」と電卓をはじいた。彼女の弁護士は、「どの数字をを元に計算しましたか?」と聞いた。調停員は根拠と数字を口頭で伝え、口述しながら電卓を叩いた。
彼女の弁護士は、「元の数字がおかしいですね。この場合はXXXの数字を使うべきです。」と訂正させた。
会社側は「我々は27000ユーロ払う用意が有ります。」と伝えたが、彼女の弁護士はそれでは納得せず、最終的には、彼女は29000ユーロの和解金を受け取り円満退職することになった。退職の際に渡されるZeugnis(評価)には、健康上の理由で退職とすることで双方了承した。

このZeugnis(評価)だが、ドイツでは、会社をやめる際に、必ず渡される。働いた期間と職種だけが記載されているものと、「評価」が記載されているものがある。この評価だが、一見すると普通の文章だが、人事担当者だけが理解できるようなコードがあって、読む人が読めば、「こいつはできない奴なんだな」というようなことがわかるそうだ。一度悪い評価がつくと、再就職先を見つけるのが難しくなる。それで、Zeugnisの内容も争いの対象になる。
火曜日も、Zeugnisの内容に不満をもった従業員が会社側を訴えたケースが有った。
調停は双方からの話を聞き、新しいZeugnisの文面を一字一句、句読点やハイフンまで全部カセットテープに吹き込み、双方の承認を得て、この件は落着した。

そのほか、会社側が、自分の顧客をとったとして、元従業員を訴えた案件もあった。
商法では、雇用期間中は自分の雇用先の競合相手で働いたり、自分個人で客をとって働くことを禁じている。また、退職後も2年間は、元雇用先の顧客をとってはいけないことになっている。その前提条件として、顧客を取らない、同じ地域で競合分野の商業活動をしない、その代わり、その分の損害保証金を払う、というような契約を交わす、と規定されている。今回の件は、この前提条件となる契約が結ばれていなかったので、従業員が退職後に顧客にコンタクトをとったのは違法ではないというのが争点だったのではないかと思う。
お互いに、ホームページがどうのこうの、フェイスブックがどうのこうの、と言い争っていたが、その辺があまりよく理解できなかった。調停員もWEBサイト上の問題は、書き換えが容易だから、証拠として使うのが難しい、と言っていた。

午前中しか傍聴しなかったが、同じ調停員が午後も調停を行う。
調停員の仕事能力と専門知識の高さに驚かされた。
私が学生の時は、こんな職業があることを想像したこともなかった。
もし人生をやり直せるとしたら、こういう職業も面白いなーと思った。








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最終更新日  2015年12月11日 13時36分21秒
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