ドイツでマルチリンガルを育てる

昨日は一日中事務所で法律書の差し替えをしていた。法令が改正されるたびに該当箇所の新版が送られてきて、古いページと差し替えるのだが、その作業を5年ぐらい怠っていたようで、差し替えすべきページが山のように溜まっていた。私が学校で習った税法は、たぶん10種類ぐらいだが、税に関する法律は信じられないほどたくさんあった。
税法を終えて、次は商法。ようやく差し替え作業が完了したと思ったら、社長室の隅に2012年から2014年の改訂版が積み上げてあった。2015年、2016年の差し替えはしたのだが、２０１２年に改正になった法がその後また改正になったとは限らないので、古い版もチェックする必要があり、いい加減うんざりしてきた。確かに面倒な仕事なのだが、それは２－３年分を一気にしないといけないからであって、改訂版が送られてくる度にしていたら、３０分以内には終わる仕事のはず。事務所批判になってしまうが、どこか秩序や優先順位がおかしいような気がした。

そういうわけで昨日は別の部屋で私は黙々とページ差し替えの作業をしていた。お昼すぎにメリちゃんが「ちょっとこっちにきて」と私を隣の部屋に呼び出した。隣の部屋にいってみると、メリちゃんが見覚えのある小包を２つ抱えていた。「これ、あなたが昨日郵送したものでしょ？両方戻って来ちゃったよ。」と言った。なんと私は差出人と受け取り人の欄を逆に書いていたのだ。昨日は時間が気になって慌てていたのでよく読まずに書いてしまったのだ。まさかそんな失敗をしているとは・・・。メリちゃんは「私が下まで降りて受け取ったのが不幸中の幸い。社長に見つからないうちに隠して。」と言った。本当に情けない。

そのあとまた元に戻って差し替え作業をしていたら、社長の次男が「アイスを買ってくるけど、食べる？」と聞いてくれた。私は「いえ、結構です。ありがとうございます。」と遠慮したら「あなただけだよ、食べないの。みんなは食べるよ。」といったので、「それなら、私もお願いします。」と伝えた。みんなでキッチンで食べた。かなり大きなカップだったので「うわー大きい！」と思わず声に出てしまった。次男は「これは一番小さいサイズだよ。」と言った。
みんながいろいろお喋りをするのを私は聞いていた。すごく和気藹々としたいい雰囲気だった。みんなが食べ終わっても私は半分以上残っていて、いそいで食べないと・・・と焦ってしまった。
アイス休憩も終わり仕事に戻ろとした時、社長が「日本にはアイスはないのよね？」と言い出した。えー、日本ってどんなイメージなの？？？私は即座に否定した。「以前、クラスメートから日本にはピザってある？って聞かれたことも有りますが、日本には何でもありますよ。」と伝えた。すると社長は「そうなの？アジア人てラクトーゼに耐性がないから乳製品は食べないのかと思ったわ。」と言った。「日本人は牛乳も飲みますし、チーズもヨーグルトも食べますよ。」と言うと驚いていた。

仕事が終わり、そのまま郵便局に行った。昨日と同じ受付の人だったので、「昨日これらを発送したんですけど、宛先と差出人の住所を逆に書いてしまって戻ってきてしまったんです。」と話した。郵便局の人は「あらー。私も確認しなかったのが悪かったわね。」と言った。すでに５時を過ぎていたので「今日の発送に間に合いますか？」と聞いたら、「大丈夫よ。まだ間に合うわ」と言ってくれた。「あー、よかった。そうじゃなければ、怒られてしまうところでした」と冗談ぽく言うと、「こんな間違え大したことないわよ。お金を払えば済む話。私の息子が最初に車を運転した日に車を擦ったの。それを聞いた時に私はすごくパニックになったのよ。でも、たかがブリキの板を傷つけただけ、お金を払えば元に戻るってある人に言われたの。そしたら、息子が怪我したわけでも他人を傷つけたわけでもないのだから、大したことではないと思えるよになったのよ。私はその時修理に400ユーロ払ったけど、あなたの再送費用は１５ユーロ。私の出費に比べれば少額だし、お金で全て解決することだから、落ち込まないでね。」と言ってくれた。受付の人はかなり若くみえるのに、自動車免許を持っている息子がいるということにびっくりして「１８歳の息子さんがいらっしゃるんですか？見えませんね。」と正直な気持ちを伝えると「息子は２０歳よ。２０歳で産んだからね。でも普通でしょ？」と言われた。郵便の発送さえもまともに出来ない自分に落ち込んでいたが、メリちゃんも機転を利かせてくれたし、郵便局の人は励ましてくれたし、最後は明るい気持ちで家に帰ることができた。

家に帰ったら、夫が夕飯の準備をしていた。海老とオイスターとガーリックブレッドにワイン。何故だがバラの花も買ってくれていた。天気が良かったのでテラスで食べた。食後はアイスと果物とチョコとコーヒー。後片付けもすべてしてくれた。こんな贅沢、ありがたい。昨日はついていない日だと思っていたけど、終わり良ければ全て良し。