ドイツでマルチリンガルを育てる

子供たちはファッシングの休暇で今週休み。
私はカレンダー通りの出勤予定だったが、金曜日に帰りの挨拶をしたときに社長から「月曜日は来なくていいわ。」と言われた。そういうことはどうしてもっと早くに言ってもらえないのだろうか？
休みが続くと、仕事に行くのが本当に面倒くさくなる。やっぱり家にいる方が楽。

２週間ほど前に職業訓練校で知り合った人のおうちに呼ばれた。
彼女にも息子さんがいるので、にこちゃんを連れてきてもいいよ、と言われた。
３時からの約束だったので、一緒にお茶を飲んで、５時ぐらいに失礼しようと思っていた。
ところが会うなり彼女から「ピザを注文するのとフライドチキンとどちらがいい？」と聞かれた。
「えっ、私たちはお昼ご飯は済ませてきているから、おなかいっぱいだよ。」と言ったら「einladen（招待する）って書いたよね？」と言われてびっくりした。Einladenというのはおうちに来てもらうときに使う動詞と解釈している。もちろん「ごちそうする」という意味が含まれていることは知っているが、まさか平日の３時に昼ご飯を食べるとは想像しない。
彼女は「おなかがいっぱいなら仕方ないわね」と言って、テーブルの上に山ほどお菓子を並べ始めた。私たち２人だけなのに、１０人以上でパーティーを開くことができる量だった。
びっくりしていると、「私の国（ウクライナ）ではこれが普通よ。本当は３日前ぐらいから手作りで用意するけど、その時間がなかったから、全部買ったものでごめんね。」と言われた。

彼女は私より１年遅れて職業訓練をはじめた。半年ほど一緒のクラスで勉強をした仲。彼女のクラスメートとは彼女以外とは誰ともコンタクトはない。
彼女のクラスには１３人いたけど、結局４名が途中でやめた。彼女たちは１月から研修が始まった。１名はいまだに研修先が見つからず、このままだとフェードアウトせざるを得ない状況らしい。彼女自身も研修が始まる前に研修先を見つけることができず、１週間後になんとか見つけることができたと言っていた。彼女は車を持っていないので、バスと電車を乗り継ぎ片道１時間かけて通勤している。
彼女の研修先は女性の社長（税理士）と社員が１名、研修生が２名という体制だそうだ。
事務所が１階で２階は社長の自宅。社長は１２時から２時は昼休みで必ず２階の自宅に帰る。社長には幼稚園児の娘さんがいるが、もう一人いる研修生は娘さんが病気の時、１時間ほど２階の自宅でベビーシッターをさせられたことがあるそうだ。
私の友人も社長からは「電話は一切取らなくてよい」と言われていると言っていた。しかし彼女は１０年ほどお店で働いていた経験があり、顧客対応もしてきている。だからその待遇には不満があるようだった。

彼女の事務所では掃除婦を雇っていないので、毎週金曜日に彼女が事務所中を全部掃除しているのだそうだ。２時間かけて掃除機をかけたりテーブルを拭いたり台所を片付けるという話を聞いて、上には上がいるなーと思った。

彼女も郵便の受付をしているのだが、私の場合はすべてPCに入力する。しかし彼女の事務所ではすべて手書きでどんな郵便がきたか、どんなファイルを顧客が持ち込んだかを書き込んでいるそうだ。

彼女たちは研修が始まってまだ２か月足らずだが、すでに彼女のクラスメートの一人はいじめにあったために研修先を代えたそうだ。また別のクラスメートも７人いる事務員から無視されている状態で、やめたいと愚痴をこぼしているらしい。

彼女から研修後のプランはあるのかと聞かれた。
私が「今の事務所に残りたいとは思わないし、社長も私に残ってほしいとは思ってないと思う」と話したところ「今すぐにほかの事務所を探しておいた方がいいよ。今からいろいろなところに応募してみなよ。絶対にどこか受け入れてくれるところがあるはず。」と彼女からアドバイスされた。彼女と話しているととても前向きな気分になれる。

以前社長から「あなたは働く必要がないんでしょ？なのになんで研修を受けているの？私だったら、外国語で税法を学ぼうなんて無謀なことはしない。もしするんだったら、半日ではなく、フルタイムで集中して学ぶ。」というようなことを言われた。この話をしたら「働く必要がないのになぜ働くのかってすごく馬鹿な質問だよね。働く理由は経済的事情だけじゃないよね。そもそも働く気がなかったら研修なんて受けていないわけで、研修を受けている時点で、働く気があるに決まっているじゃん。」と即座に言った。なんでこういう受け答えが私はできなかったんだろう？と思った。しかし私には本当に働く気があるのだろか？どこからかおいしい話が舞い込んでこないかな？ということしか考えていない。

彼女と話していると、私も頑張ろう、私にもできるかもしれない、と思えてくるから不思議だ。

結局彼女の家には７時過ぎまでいた。夕飯もごちそうになってしまった。
しかしこんなに歓待されると、気軽には会おうなんていえなくなっちゃうなー。