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カテゴリ:マルチリンガルへの道
自分の子どもたち3人をみていると、同じ環境で育ってもここまで差が出るのかと不思議になる。
孟母三遷という言葉があるが、実際は環境によるところは少なく本人の資質とやる気次第でどうにでもなるのではないかと思うようになってきた。 ニコちゃんがギムナジウムに入ってから1ヶ月たった。先日保護者会に夫が出席して、ニコちゃんがクラスでもかなり落ちこぼれているという事実を知らされ、愕然として家に戻ってきた。初日に立派な学校特製の「Hausaufgabeheft」が配布された。5ユーロで強制的に購入しなくてはいけなかった。それはいいのだが、ニコちゃんの場合、ほぼ毎日白紙。一言書いてあったとしても字が汚すぎて読めない。テストも既に何度かあったようなのだが、私たちは全く知らなかった。それで夫が担任に学校の状況が全くわからず、どんなサポートをしていいのかわからないということをメールで相談した。 昨夜担任から「もう一人の担任と相談しました。今後私達が交互にニコのHausaufgabeheftをチェックします。ちなみに、月曜日に2回めの英単語テストがあります。」と返事が来た。 1回目の英単語テストはどうだったのかとニコちゃんを追求したのだが、「一旦返されたが、また先生に戻さないといけなかった。僕は自分の点数を見なかったからわからない。」というしらじらしい嘘をついた。ニコちゃんのリュックサックの中をくまなく探した所、奥の奥に小さく折りたたまれているテストを見つけた。賢浩もそうだったのだが、テストを親には見せないで隠し持っておくが、捨てることはしない。それがとても不思議。うちにはシュレッダーもあるから、簡単に証拠隠滅できるのに、そうはしない。そのことは評価したい。 ニコちゃんの答案は赤ペンでたくさん修正されていた。ドイツ語では名詞はいつでも必ず大文字で書く。ニコちゃんは英語でも名詞をことごとく大文字で書いていた。 「Ich habe keine Angst vor großen Hunden.」を英語に直すという問題もあった。正解(教科書通り)は「I'm not scared of big dogs.」。しかしニコちゃんは「 I'm not afraid of big Dogs.」と書いていた。先生のコメントは「afraid ofなんて英単語をこのクラスで知っている子は君以外にはいないだろう。すごいね。」となっていた。なんて優しい先生だろうと思った。dogを大文字で書いていたので半分点数はひかれていたが、教科書通りの回答でなくても認めてくれていた。 にこちゃんの英語の知識はたぶんクラスメートよりはかなり上のはず。本人も学校で「僕は英語のプロです」と言ったらしく、その話を先生から聞いた夫は頭を抱えていた。 ニコちゃんは英語であれば、全く何の勉強をしなくても、ある程度は書ける。しかし綴りが正確ではないし、大文字小文字のミスが多いので、半分の点数しか取れない。家で練習するれば簡単に満点もしくはそれに近い点数は取れると思うのだが、そういう努力を全くしない。今はまだいいが、もう少し複雑になってきたらにこちゃんの知識だけでは追いつけなくなると思う。そうしたら英語でさえ一気に落第点になるだろう。 恵子はギムナジムでは常に英語は学年1番で、英語の時間は一人だけ特別課題をこなしていた。みんなは「彼女は英国籍だから当然」と言っていた。恵子はいつでもどこでも、英語、日本語、ドイツ語、中国語ができて当然だと思われていた。彼女がどの言語でもかなりのレベルなのは、本人の努力の賜物なのだが、そう思う人は少ない。しかし、賢浩やにこちゃんを見てわかる通り、それは当然のことではない。話したり聞いたりする能力と書いたり読んだりする能力はまた別物なのだ。 この7月に恵子は日本語能力テストN1を受けた。テスト会場で恵子のようにお母さんが日本人というハーフに出会った。彼女は日本に1年留学していたこともあったそうだが、今までN1には3回不合格になっていて、今回が4回目の挑戦と言ったらしい。親が日本人だったら日本語ができると思うのは正しくない。 英語もクラスで最下位となればニコちゃんのよりどころがなくなってしまうから、「英語のプロ」でいられるよう本人の努力を促すしかない。私たちにできることは環境を整えてやることだけで、それ以上は本人次第なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年10月08日 17時07分45秒
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