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ドイツでマルチリンガルを育てる

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2015年01月04日
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昨日もニコちゃんはSternsingerの「奉仕」に出かけ、たくさんの戦利品を持ち帰ってきた。
昨日は氷雨が降るあいにくのコンディションだった。「本当に大変だった!」と訴えた。今日は中休み。明日、あさってとSternsingerの仕事は続く。

賢浩は昨日はSternsingerに参加しなかった。木曜日から新学期が始まるのだが、いきなりフランス語のテスト。翌日は数学のテスト。自主的には勉強しないので、アメリカに住む義姉夫婦がスカイプを使って賢浩に家庭教師をしてくれている。彼らも決して暇ではない。フルタイムで働いているし、趣味や友人も多く、予定がぎっしり。それでも毎週末2時間ほど賢浩のために時間を費やしてくれている。義姉夫婦とは英語でやりとりしている。現在数学では三角関数を習っている。サイン、コサイン、タンジェントは、何語でも同じかもしれないが、あとの専門用語はやはり英語とドイツ語では言い方が異なる。それでも、賢浩は問題なく、楽しそうに義姉夫婦と会話している、私は、ずっと英語ばかりとかドイツ語ばかりの環境にいるとすごく疲れる。何でもまず日本語に頭の中で翻訳して考えてしまうのだが、子供たちの頭の中では自動的に切り替えられている。
小さいころからいろいろな外国語に触れることは、発音がネイティブに近くなるということのほかに、思考回路も複数言語に適応できるように柔軟になる利点があると思う。

大晦日の日、ヨハネス君の両親にニコちゃんの問題を話した時に、「ニコには3言語環境は負担が大きすぎるのでは?思い切って英語か日本語をやめて、2言語に減らしてみてはどうか?」とアドバイスされた。「うちの場合、親戚でドイツ語を話せるものがいないので、子供たちは日本語と英語の両方が話せなければ、祖父母やおじさんやおばさんと会話できなくなってしまうので、無理です。」と答えたら、「それでも、ニコのためには減らすべきだと思いますよ、知り合いにドイツ人とスペイン人の夫婦がいて、男の子と女の子の双子がいます。女の子の方はスペイン語もドイツ語も達者ですが、男の子の方は、まったく言葉を話さず、最初はみんな彼が聾唖なのかと疑っていたのです。でも、ドイツ語だけで話しかけるようにしたら、たくさんおしゃべりするようになり、そこからは順調という例を知っています。」と言われた。
そのほか、「ニコには、ドイツ語の本を毎日読み聞かせしてあげてください。」ともアドバイスされた。
昨日、恵子にこの話をしながら、「そんなことはわかっているけど、読んであげてもニコちゃんが全然話を聞かないから、意味がないんだよね。」と愚痴をこぼしたら、「そういう風にアドバイスされるとむかつくよね。」と恵子が言ったのでびっくりした。「別にムカつかないよ。こっちがニコちゃんの話をして困っていると話を振ったから、向こうが親身になってアドバイスしてくれたんだよ。」と言ったら、「あっ、そうなの。」と言われた。恵子は、いろいろな人に、「こうしろ」「あーしろ」といわれことを、きっと「うざい!」と思っているんだろうな、と思った。

恵子のWGには日本語を専攻している学生がいて、その子は今年卒業なので、そうしたら、日本で働きたいと思っているそうだ。「そんなに簡単にビザがおりるのかしらね?」という話から、「恵ちゃんがもし、将来日本で働きたいなら、日本国籍を保持していたほうがいいかもね。」という話になった。ドイツは最近2重国籍を認めるようになったので、恵子はドイツ国籍を取ろうかな、と言った。「イギリス国籍があれば十分じゃない。なんでドイツ国籍が必要なの?」と聞いたら、「やっぱり、将来マックスプラン研究所とかドイツで働きたいなーと思うから。」と言ったのでびっくりした。「賢ちゃんみたいにアメリカじゃないの?」と聞いたら、「アメリカは私にはあわないと思った。アメリカ人の考え方が好きではない。休みも少ないし・・・」と言った。「いろいろな人に、日本は研究職が少ないからやめたほうがいいといわれたから、日本で就職する気もない。」とのこと。アメリカよりもドイツがいい、と思っているとは意外だった。

昨日、日本から小包が届いた。いつもは10日ぐらいで届くが、クリスマスもあったせいか、20日ほどかかった。たくさんの食べ物と、漫画がはいっていた。賢浩の愛読書はNARUTO。恵子はコナン。漫画には漢字に振り仮名がついているので問題なく読める。恵子は日本の小説も読むが、賢浩は漫画しか読まない。小包の中にはいっていた日本の新聞の一面をみせて、「この中で知っている漢字ある?」と聞いてみた。賢浩は、「あっ、これ、うし!」と言って、「年」の字をさした。「違うよ」というと、「えっ、あー、せんせいに使う漢字ね」と言った。「先生」の「生」の字と勘違いしていた。「牛」「生」「年」・・・似ているといえば似ているけど・・・・
「あっ、これは 6でしょ」といって「立」を指した。「六」と「立」・・・
「これは ヤミ だ!」と言って「門」を差した。「闇」と「門」・・・
「これは、LOVEだね」といって、「変」を「愛」と勘違い。
「内」は「肉」と間違えるし、とにかく、爆笑させてもらった。賢浩は日本から送られてくる漫画でしか漢字にふれることがないから、なんとなく形で覚えているだけ。私もドイツ語ではこれと似たような間違いをよくしていて、周りの人に苦笑されているのかもしれない。

ニコちゃんの日本語能力はもっと低くて、カタカナどころか平仮名さえおぼつかない。でも、今は日本語よりドイツ語をがんばってもらわなくては困るので、日本語は読み書きできなくても仕方がない、とあきらめている。でも、日本語、ドイツ語、英語、どの言語環境にいても苦痛ではなく、一応それぞれ適応している。7日にニコちゃんの診断結果を受け取るのだが、どのような結果になっても、私が子供と日本語で会話すること以外の選択肢は考えられないし、夫も英語で話しかけていくと思う。





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最終更新日  2015年01月04日 17時36分30秒
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