半月板
2週間ほど前にサッカーの練習をしていて賢浩は脚を痛めた。先週は秋休みで、普通に過ごしていたし、3日間も遊園地で遊んでいた。今週になり、「スポーツの授業の欠席届を書いて欲しい」と言われ、まだ足が痛いのか・・と気づいたぐらいで、賢浩が怪我をしていたことをすっかり忘れていた。しかし、膝の痛みが消えないというので、昨日小児科でみてもらったら、半月板損傷の可能性が高いので、MRTで検査をするように指示された。今朝地区病院に電話をしたらMRTは一番早くても12月2日の検査になる、と言われた。午後になり、病院側から連絡があり、今日の夕方にできると言われたので、これから検査に出かける所。ニコちゃんも賢浩も地元のサッカークラブに入っている。賢浩は去年加入したばかり。この歳になって始めるのは遅い気もするけど、友達も多いしサッカー自体が楽しいらしく、雨の日も風の日も喜々として練習にでかけていた。それが怪我のせいで、試合にも出られないし、練習もできず、すごく悔しがっている。ニコちゃんは、サッカーが好きなのかかどうかよくわからない。友達もいない。私もママさんやコーチの名前すら知らない状態。秋休みの後から練習は体育館でする、と言われたそうだ。しかし、私の町には5箇所も体育館があるので、どの体育館を使用するのかわからなかった。火曜日は2つの体育館を覗いてみたが、ニコちゃんのグループはいなかった。昨日もニコちゃんと一緒に探したが、わからなかった。それで別のグループのトレーナーに聞いてみたら、木曜日は毎週外で練習ですよ、と教えてくれた。ニコちゃんは外で使うサッカーシューズを持っておらず、また半袖半ズボンという出で立ちだった。それでも、やりたいと言い出し、そのまま練習に参加した。私はそのまま外で観戦していたが、厚手のジャケットを着ても凍えそうに寒かった。ニコちゃんだけが夏のような格好をしており、他の子は長袖長ズボンのジャージに更にジャケットを着たり毛糸の帽子をかぶっていた。ニコちゃんは体温が高いのか、ものすごい暑がりで、上着を着るのを嫌う。いつも半袖のTシャツ。一人だけ違う季節にいるようだ。ニコちゃんはお世辞にも上手とはいえず、「何やっているんだよ、ニコ!」とチームメートに野次られていたが、それでも一人ぽつんとしているわけではなく、みんなの中に溶け込んでいるようには見えたので、本人が楽しければ続けてもらうのに何の異議もない。最近、親がドイツ語ができないことは、子供にとってはものすごいハンデであると感じるようになった。以前は、それほど思わなかった。恵子のドイツ語はドイツ人と遜色なく、Abiturも15点満点で学校で一番いい点数だった。恵子を見ていると、親がドイツ語ができないハンデを感じない。しかし、ニコちゃんを見ていると、私がきちんとしたドイツ語を話さないことがものすごく不利に働いているように思う。先日、ニコちゃんは学校でプレゼンテーションをした。テーマは「森に住む動物」で、ニコちゃんに与えられた課題は「Luchs(オオヤマネコ)」だった。ニコちゃんには作文能力がないので、私がドラフトを書き、それを賢浩にチェックしてもらった。オオヤマネコの特徴は、耳の先が筆みたいになっていること、ホッペにフサフサした毛が生えていること、そしてしっぽが短く、先が黒くなっていること。これを私は、「Der Luchs hat Pinsel-Ohren, Backenbart und kurzschwanz mit schwarzspitze.」と書いた。賢浩は、「Der Luchs hat Pinsel-Ohren, einen Backenbart und einen kurzen Schwanz mit einer schwarzen Spitze.」と書き直した。私のドイツ語は、いつも冠詞が抜けてしまう。致命的・・・ この文をニコちゃんに暗記させようとしたのだが、何度教えても「Pinsel-Ohren」「Backenbart」「Kurz Schwanz mit schwarze Spitze」と単語だけを羅列する。私同様、冠詞が全部抜けてしまう。3年生なのに、こんなにドイツ語力が低くていいのかと不安になる。私自身も活用と冠詞はあやふやで、ニコちゃんの言葉をいちいち直してあげられないので、なかなか修正しきれないのだと思う。これが日本語だったら、本当に簡単に教えられるのに・・・とつくづく思う。そう考えると、実はニコちゃんにとっては、日本に戻って、私が正しい日本語で教えるのが一番いいのかな?とも思えてきた。とにかく、ニコちゃんの教育には頭を悩ませることが多い。今から将来が心配で仕方ない。