風上にも置けぬ奴じゃ
朝、4時に目が覚めた。瞬間財布の中身が気になった。貧乏はこれだからいやだ。昨日、財布の中に2000円しか入っていなかった。でも待てよ。おととい4万円下ろしたはずだ。で、そのうち1万円を別の口座に振り替えて―。残りはどうしたっ?ガバッと跳ね起きた私は、一階に降りてレシートの束でむなしく膨れた財布をチェック。やっぱりない。むむむ。だんなか?いや。昨日は仕事で昼間家にいなかったし、帰ってきてから寝るまで、そんなチャンスはなかったようだ。長男か?毎日受験勉強で家に缶詰状態。お金を使う機会もないが。長女か?そういえば、明日モールに友達と行きたいというのを、小遣い使ってしまったなら、行けないじゃないよ。と、たしなめた。次男か?駄菓子やの100円が大金だという世界に生きているのに万単位のお金をどうこうなんて、リアルじゃないなぁ。次女か?3歳児は問題外……。一番怪しいのは中1の娘。前に一度、勝手に財布から1000円使ってこっぴどく叱られたという前科もある。皆が起きてくる前に起こして、問い詰めるしかないのか…。娘の部屋のドアノブに手をかけようとしたその瞬間。思い出した。おろしたお金は、財布じゃなくて銀行の封筒に入れてバッグの中だ。果たして、ピンピンの新札が「福沢ですが、何か?」という顔で封筒から出てきた。あぁ。さーちゃん、ごめんよ~。わが娘を疑うなんて、なんて親だろうねぇ。起こす前に気づいてよかった。このことは内緒♪