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天使になれない

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いつの頃からか彼は、引越しの前には二人で旅行に行こう、とも誘うようにもなりました。
旅行に行くこと、それはつまり、二人が結ばれることを意味していました。


わたしは、行きたくなかった。
「なぜ?」と彼が聞きました。


「キライになりたくないから。」と私は答えました。
「セックスしたらきっと、私はあなたに飽きてしまうから。」


そう、私は、きっと飽きてしまうでしょう・・・
私の欲しいのは<ともだち>であって、恋愛ごっこの相手ではないから。


セックスもいいよ。けど、ともだちではなくなってしまうなんて
つまらないでしょ。かなしいし。
だから、したくない。


でも彼は、「僕とだと、なにもかわらないと思うよ。」と答えました。
だから試してごらん、と。


まさか。変わるでしょ。。。そう私は思いました。






おままごとをしている時のコナン君電話(笑)のあとも、
彼は相変わらず、旅行に誘ってきました。


同時に、私の街の不動産屋さん巡りも始めました。
本気で越してくるらしいです。







夏が近づいていました。


宿も取った。車も借りたよ。
ある日、そう彼が言いました。


彼の指定したその日は、偶然、子供たちは妹の家にお泊まりに行く日でした。
主人は、私も子供たちと妹の家に泊まると思いこんでいます。
妹も別に、叱りもせず、しょうがないな~と言うだけだったし・・・・。


NOと言う要因がきれいになくなってしまい、
私は、旅行に同意しました。







初夏。
運転しながら彼は「新婚旅行だ」と言いました。
助手席で景色を眺めながら私は「おもしろいこと言うなぁ」と思いました。


でも、あれは、新婚旅行だったんですね。。。
今から思えば、たしかに、私と彼の新婚旅行だったんです。
二人は結ばれましたし。


そして、彼は私に聞きました。
「なにかかわった?」


私は答えました。
「ううん。なにも。」と。


本当に、なにも変わりませんでした。

不思議なくらい、
彼はそのままありのままの彼だったし、私も私のままだった。


私は結婚していて、二人の子持ちで、もうすぐ家族でイギリスに留学する。
薫と深い仲にもなったけれども、
彼と私が楽しい友達同士であることにもかわりはない。


ほんとになにもかわっていなかった。
薫の言うことは本当だった、


というか、どうやらこの人の読みは信頼できる・・・
少なくとも私自身よりは正確に物事を予測する能力がある・・・


こうして私は、彼を信頼するようになりました。





2006年05月01日





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最終更新日  2008.06.19 23:04:54
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